ハヤカワ文庫SF<br> ロカノンの世界

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ハヤカワ文庫SF
ロカノンの世界

  • ISBN:9784150108236

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内容説明

全世界連盟から派遣されたフォーマルハウト第2惑星調査隊は、隊長のロカノンを残して全滅した。この惑星にひそむ連盟への反逆者が、調査隊を襲ったのだ。なんとかこの事実を母星に知らせようとするロカノンだったが、通信装置を破壊されてしまっていた。使用可能な装置は調査隊を攻撃した反逆者の手もとにしかない。ロカノンは、この星のヒューマノイド──風虎に乗り、空を翔けるアンギャール族の協力を得て、未踏の大陸の果てまでも反逆者を捜し求めるが…その後のル・グィンの物語世界の基調をなすSF界の女王の記念すべき長篇第1作!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

117
全滅したフォーマルハウト第二惑星調査隊の隊長、ロカノンが調査隊を襲った反逆者を探す旅に出るのがメインのプロット。一応SF的な設定が取られているのが、ファンタジーに近い内容だった。小人や翼人、風虎など読み手の想像力を刺激する要素が多くて、美しく織られたタペストリーを見ているような心地になる。フォーマルハウト星の原住民の中に入って、彼らを社会や文化を理解していこうとするロカノンの姿勢に、文化人類学的な視点を感じた。他国の文化を侵略する帝国主義的なアメリカの政策に対するささやかな批評だと思う。2016/04/29

くたくた

39
面白かった。萩尾望都の表紙がとても美しい。物語は、SFと神話世界が融合する独特なファンタジー世界を構築し、萩尾望都のSFと強い親和性を感じた。(というか、萩尾望都が影響を受けたのだと思うけど。)主人公と友人(王/勇者)と従者と矮人というパーティによる未知の世界の踏破は、トールキンにも通じるファンタジーの王道。そこに、ハイニッシュ・ユニバースの人間が光速の壁を越えられないという独自設定が加わり、主人公ロカノンの苦悩と孤独が説得力を持って迫ってくる。主人公の性格が抑制が効いていて、物語に深みを与えていた。2025/05/23

白義

13
想像力による神話の世界への飛翔。一つの惑星をめぐる神話的な時間の流れを、宇宙連盟に対する反逆軍、それにより仲間を失った民俗調査船船長の復讐という、しっかりした硬質なSFの軸で引き締めた処女作。プロローグにあたる「セムリの首飾り」の、フレイアというか浦島太郎の原初の感動を引き出したような壮大な儚さが実に美しい。ファンタジーの言葉からSFの言葉になるときのギャップ、SFによる宇宙の果てしなさの導入がファンタジーをさらに飛翔させる理想のサイエンスファンタジー。そしてSFからファンタジー、神話へとまたかえる壮麗さ2018/01/22

ハイちん

13
SFの女王と呼ばれているアーシュラKルグウィンの処女長編らしい。ぼくはこの人のことを「空飛び猫」の作者と認識していたので、牧歌的な作品だろうなと思っていたのだが、予想外にハードな作品でびっくりした。けっこう人が死ぬ。かわいらしいキャラクターに過酷な試練を与えるのが好きなんだろうか。無垢なるものは、無垢ゆえにかわいらしさと残酷さを両立するということなんだろうか。独特な世界観が印象的な作品だった。2016/10/06

ふりや

11
「伝説と事実を、真実と真実をどうやって見わければよいのだろう?」ル・グィンの第一長編。短編である『セムリの首飾り』を長編化したもの。ル・グィンらしいSFとファンタジーが融合した世界観はとても好き。後の作品でも見られる「アシンブル」が既に登場していたり、グィンの作品の重要なテーマである「異文化間の接触と葛藤」も顔を覗かせていますが、素直に民族調査員ロカノンの辺境惑星での冒険譚として楽しむのが良いのかなと思いました。魅力的なキャラが登場する中で特に「風虎」の造形はとても良いです。表紙イラストは萩尾望都さん。2020/04/21

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