ハヤカワ文庫SF<br> ロカノンの世界

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ハヤカワ文庫SF
ロカノンの世界

  • 著者名:アーシュラKルグィン【著】/小尾芙佐【訳】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 早川書房(2023/11発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 270pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784150108236

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内容説明

全世界連盟から派遣されたフォーマルハウト第2惑星調査隊は、隊長のロカノンを残して全滅した。この惑星にひそむ連盟への反逆者が、調査隊を襲ったのだ。なんとかこの事実を母星に知らせようとするロカノンだったが、通信装置を破壊されてしまっていた。使用可能な装置は調査隊を攻撃した反逆者の手もとにしかない。ロカノンは、この星のヒューマノイド──風虎に乗り、空を翔けるアンギャール族の協力を得て、未踏の大陸の果てまでも反逆者を捜し求めるが…その後のル・グィンの物語世界の基調をなすSF界の女王の記念すべき長篇第1作!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

117
全滅したフォーマルハウト第二惑星調査隊の隊長、ロカノンが調査隊を襲った反逆者を探す旅に出るのがメインのプロット。一応SF的な設定が取られているのが、ファンタジーに近い内容だった。小人や翼人、風虎など読み手の想像力を刺激する要素が多くて、美しく織られたタペストリーを見ているような心地になる。フォーマルハウト星の原住民の中に入って、彼らを社会や文化を理解していこうとするロカノンの姿勢に、文化人類学的な視点を感じた。他国の文化を侵略する帝国主義的なアメリカの政策に対するささやかな批評だと思う。2016/04/29

白義

13
想像力による神話の世界への飛翔。一つの惑星をめぐる神話的な時間の流れを、宇宙連盟に対する反逆軍、それにより仲間を失った民俗調査船船長の復讐という、しっかりした硬質なSFの軸で引き締めた処女作。プロローグにあたる「セムリの首飾り」の、フレイアというか浦島太郎の原初の感動を引き出したような壮大な儚さが実に美しい。ファンタジーの言葉からSFの言葉になるときのギャップ、SFによる宇宙の果てしなさの導入がファンタジーをさらに飛翔させる理想のサイエンスファンタジー。そしてSFからファンタジー、神話へとまたかえる壮麗さ2018/01/22

ハイちん

13
SFの女王と呼ばれているアーシュラKルグウィンの処女長編らしい。ぼくはこの人のことを「空飛び猫」の作者と認識していたので、牧歌的な作品だろうなと思っていたのだが、予想外にハードな作品でびっくりした。けっこう人が死ぬ。かわいらしいキャラクターに過酷な試練を与えるのが好きなんだろうか。無垢なるものは、無垢ゆえにかわいらしさと残酷さを両立するということなんだろうか。独特な世界観が印象的な作品だった。2016/10/06

ふりや

11
「伝説と事実を、真実と真実をどうやって見わければよいのだろう?」ル・グィンの第一長編。短編である『セムリの首飾り』を長編化したもの。ル・グィンらしいSFとファンタジーが融合した世界観はとても好き。後の作品でも見られる「アシンブル」が既に登場していたり、グィンの作品の重要なテーマである「異文化間の接触と葛藤」も顔を覗かせていますが、素直に民族調査員ロカノンの辺境惑星での冒険譚として楽しむのが良いのかなと思いました。魅力的なキャラが登場する中で特に「風虎」の造形はとても良いです。表紙イラストは萩尾望都さん。2020/04/21

roughfractus02

10
反逆者によって調査隊が全滅した男が反逆者を追い詰める物語は、世界の神話に定番の<出発-冒険-帰還>の英雄物語パターンを描く。英雄に位置する主人公は民俗学者であり(作者の父は人類学者)、彼の調査隊が銀河系辺境の惑星で果たすファーストコンタクト(元々は人類学用語)は、物語ジャンルの大枠においてSFとファンタジーの融合を果たす。翼を持った虎(風虎)に乗る異星の種族と宇宙船が同じ空に飛び交う世界は異郷的だがリアルだ。が、最後の首飾りにまつわる結末に読者が納得するなら、別の現実としての神話と出会えていないのだろう。2023/12/21

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