内容説明
「計算」は私たちの生活のそこかしこに現れる。では、指やペンを使う足し算や筆算と、膨大な電力を消費する巨大コンピュータによる計算は、何が異なるのだろうか。機械が人間の能力を遥かに超越し、日夜無言で計算し続けるいま、私たちには一体何が残されるのだろうか――。気鋭の独立研究者が数学史を遡り、いつしか生命の根源まで辿り着いた果てに提示する新たな地平。河合隼雄学芸賞受賞作。(解説・下西風澄)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にいたけ
48
すごい本を読んだ。目鱗の連続。とはいえ書いてある内容をどれだけ理解出来たのかわからない。人間による数の捉え方を過去から現代の人工知能まで数学史を語る。「人は計算結果を生み出すだけの機械ではない。かといって与えられた意味に安住するだけの生き物でもない。計算し、計算の帰結に柔軟に応答しながら現実を新たに編み直し続けてきた計算する生命である」自分の知見だけで物事を判断し「できない、無理」とすぐ判断する奴は、ただの機械。だからどうするがなければ計算は過去が未来を食べるだけの活動になってしまう。自戒を込めて。2024/02/15
特盛
14
評価4.2/5。単なる計算の話でなく、人の認識や思考システムの壮大な歴史を辿れ興奮した。題材は、古代の数認識・数字・ギリシャ数学・デカルト・リーマン・カント・フレーゲ・ウィトゲンシュタイン・人工知能と現代、と流れる。操作と意味は鼬ごっこをし合う歴史だったのだ。自分個人の実感として抱えていた問題、何故大学から急に数学がとっつきにくくなったのか、環境問題に何故スタンスを取りにくい思いをしていたのか?といった問もすっきりした。計算の存在を感知しにく、意味を読み取りにくい現代こそ、人間らしさがより問われよう。2024/01/07
すゞめ
7
数学独立研究者である著者が綴る、計算-生命の歴史と未来。数学に関する著作だが著者の文章は美しく、心地よい。数学、哲学、論理学の地平の広さや、学者たちの構想の壮大さに思いを馳せる。 現代を生きる我々に警鐘を鳴らす一冊でもある。オープンAIが身近になった今、とてもタイムリーだ。 前作より難解な部分は多め(特にリーマンに関する節) 一方カントやウィトゲンシュタインの説明は初心者にも分かりやすく書かれていると感じた。 ちなみに数学の得意不得意は関係なく読めると思う。 計算という行為の美しさに触れた読書体験だった。2025/05/09
H2A
7
この本は前作よりもさらにずっと読み応えがあった。2024/06/22
読書熊
4
数学の歴史が、こんなにも豊かな物語を含んでいるとは2024/03/28
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