内容説明
「認知革命」よりも前に起きた「共感革命」とは何か? 共感が世界を作り、そして今、共感が世界を破壊しようとしている。人類史の知られざる革命から見えた、本当の人類の姿とは?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ta_chanko
18
身体能力に劣る人類がサバンナに降り立って生きていくためには、群れで生活し互いに協力しあう必要があった。そのために発達したのが「共感」力。言葉よりも前に歌やダンスで身体のリズムを同調させることでコミュニケーション力や共感力を高めた。直立二足歩行により道具を扱うとともに、食べ物を仲間のために運ぶことが可能になった。性を隠し、食事を仲間と分かち合うのは動物とは逆の行動。群れ(社会)の適正規模は150人程度=ダンバー数。農耕により社会・国家の規模は拡大したが、それをまとめたのが宗教の役割。現代は第二の遊動時代へ。2023/12/18
門哉 彗遙
7
最初に生まれたコミュニケーションは言葉ではなく、音楽やダンスだっただとか、白目があるのは人間だけで、それは視線共有をするためだとか、最初はとても面白かった。でも京大総長時代に、学生としっかり話し合うこともなくある事件で四人の学生を放校処分したことを知り、この人の共感も眉唾だなと思いながら最後まで読んでしまった。人間には「動く自由」「集まる自由」「対話する自由」があるとこの人は書いてるねんけどなぁ。2023/11/18
Asakura Arata
7
共感能力が、諸刃の剣ということがわかった。共感能力が良い方に働く条件として、150人以内のコミュニティで、所有に拘らず身軽に移動することを実行していくことか。まさに「風の時代」だな。2023/11/14
シュレッダ
5
山極さんはやはり良い。体験してきたことを試行錯誤しつつ飲み込んで1冊にする。新書じゃなくても追いかけて買いたい価値がある。2024/04/11
izumone
3
山極先生への入門書としても恰好の一冊。ここから「ゴリラ」とか「家族」とか「暴力」などのテーマに入って行くことができる。一方,個々のテーマの成書で,情報が多すぎて消化しきれなかった身にも,この本で個々のテーマの「ヒト」をめぐる研究全体の中での位置づけが把握できてとてもありがたい。2023/12/10