内容説明
自分に見えてる世界なんて
ほんのちっぽけ
地球の片隅で凛と生きる人たちーー
「ku:nel」人気連載エッセイ、オールカラー画で待望の書籍化。
時に歓喜し時に悲しみ時に途方に暮れて。
生きることを諦めない。
完全な偶然の中で知り合う他人というのもまた、
見知らぬ土地への旅と同じく、自分の人生観や生き方を
変えるかもしれない要素を持った、
未知の壮大な世界そのものなのだということを、
自分の人生を振り返ると痛感させられるのである。(本文より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
188
ヤマザキ マリは、新作(但し、漫画以外)をコンスタントに読んでいる作家です。コスモポリタンな著者ならではのワールドワイドな燻し銀のエッセイ、本職だけあって装画&挿画も素敵でした。著者が築450年の家に住んでいるとは思いませんでした(驚) https://magazineworld.jp/books/paper/3253/2023/12/16
けんとまん1007
72
こんな風に、これまでの出会いを語れるといいなあ~。そうありたいものだなあ~と切に思う。一つの出会いが、時間が経って、今の自分の一部になっているということを感じる。こんなに素晴らしいことはないと思う。2024/01/28
nico🐬波待ち中
67
幼い頃からの異文化交流にただただ圧倒されたエッセイ。14歳での一ヶ月も掛けたドイツ・フランスへの一人旅。そこで次々と結ぶ不思議な縁。偶然の出逢いも必然的なものにしてしまうヤマザキさんのパワーに圧倒された。日本は自分の故郷でありながら、「帰り」という言葉の指す先にあるのは日本ではない、というヤマザキさん。そんなヤマザキさんの世界に向けたどこまでも冷静な視線に、ヤマザキさんと年齢も近いというのにまだまだ狭い箱の中でジタバタもがく自分を歯がゆく思う。ヤマザキさんのクールな挿し絵がとても素敵だった。2024/03/16
ネギっ子gen
65
【自分に見えている世界なんて、ほんのちっぽけ】『ku:nel』連載エッセイを、オールカラーで書籍化。最後の頁で、<これまで、世界の様々な土地でいきてくるうえで、私の中にはあらゆる経験によっていくつもの扉が設えられてきた。その扉の向こう側には、生きることの意味を模索しながら、時には歓喜し、時には悲しみ、時には途方に暮れつつも、それでも日々を歩み続ける人々によって彩られた世界が、視界の果てまで広がっている>と。 ※『息子の友達』の章で、「父兄」「父兄会」という表記あり。校正を経たものなのでしょうかねぇ……⇒2024/02/01
なお
60
自ら人生を切り拓いて来た様な彼女。一人で歩んでいた訳ではなかった。17歳の時イタリアに渡り、大切な出会いや別れの思い出が綴られる。その中に幼い日の北海道での話があった。シングルマザーの母親はヴィオラの演奏家で家を開ける事が多く、元夫の母親のハルさんがマリさん姉妹の面倒を見てくれた。回りの目を気にして去って行った彼女から「また皆さんと暮らしたい」という葉書が届く…。世間体や常識の向こう側に行かなければ出会えないかけがえのない人もいるのだと書かれていた。『扉の向う側』に行かないと見えない風景が確かにあるのだ。2024/02/20