複数の言語で生きて死ぬ

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複数の言語で生きて死ぬ

  • 著者名:山本冴里
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • くろしお出版(2023/10発売)
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  • ISBN:9784874248904

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内容説明

地球には7千もの言語があって、複数の言語を使う人がたくさんいる。境界に生きることには時に困難が伴うけれど、一つの言語に囚われないことで、視界が広がっていく。言語の境界に生きることをテーマに、人々の想いや葛藤を描く。

目次

第一章 夢を話せない:言語の数が減るということ
言語の数は変化する/失われていく言語/支配被支配の関係と言語シフト/後光のようなもの

第二章 夜のパピヨン:言語の数が増えるということ
言語を分けるもの/日本語というとまるで/夜のパピヨン/エスキーナでオニブスをペガして

第三章 移民と戦争の記憶:ことばが海を渡る
プロローグ/海を渡った日本語/海外の日本語の水脈と戦争/海を渡る人々/戦争の時代の「わたし」/人間の共通性/虚像に隠された顔/過去を引き継ぐ者として/痛みにことばを与える/エピローグ

第四章 ペレヒルと言ってみろ:「隔てる」ものとしてのことば
涙を流しながら/血溜りの中に/「かれら」の析出と「われわれ」との区別/踏み絵として、烙印として、抵抗の旗印としての言語

第五章 「あいだ」に、いる:言語の交差域への誘い
金網の、あちらとこちら/『宝島』/『デフ・ヴォイス―法廷の手話通訳士』/『ジャッカ・ドフニ―海と記憶の物語』/おわりに

第六章 彼を取り巻く世界は、ほとんど無に近いくらいに縮んでしまった:ことばの断絶と孤独
リヨン駅で/アメリカン・スクール/自分だけに閉ざされて/希望としての対等可能性

第七章 「伝わらない」不自由さと豊かさ:複数の言語で生きるという現実
三つの場所での出会いと経験/バンコクは東京のようになってほしいんです/お腹が痛いので、薬をもらえませんか/日系人は許してもらえない/不自由と困難さはどのように乗り越えていけるのか

第八章 内戦下、日本語とともに生きる:ことばを学ぶ意味
ダマスカスの友/日本語の響きに魅せられて/内戦の恐怖と日本語/内戦下、日本語とともに生きる/ことばを学ぶ意味

第九章 「韓国語は忘れました」:人にとって母語とは何か
忘れさられた言語/シホさんとの出会い/外国語に順番はない/歩み寄ることば/人が言語を持つ意味

第十章 こうもりは裏切り者か?:他者のことばを使う
裏切り者のこうもり/日本語を喋ることと、英語を喋ること/政治的、社会的状況の変化と街なかに見られる言語/日本から来ました、と言えない/和解

終章 複数の言語で生き死にするということ:人間性の回復をめざして
プロローグ/支配被支配の関係―植民地・戦争・差別/集団から個へ、対等と自由のための境界/複数のことばの活動によって生き死ぬとは?/ことばの活動によって人間性を回復する/エピローグ

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

佐島楓

72
自分が使用する言語はアイデンティティーと分かちがたく結びついている。日本に住んでいて日本語を母語としている大多数のひとが普段意識しないことだろう。けれどこの世界には話す言葉、書く言葉によって差別されているひとたちがたくさんいる。呼吸をするたびに苦しんでいるひとたち。それに対して自分はなんと無神経だったか、本書を読んでほんの少し実感できるようになった。2022/06/05

livre_film2020

40
言語に携わる者として唸らされるエピソードが多々収録されている。我々は何の為に言語を学び、自己をどのように表現するのか。日本で生まれ育ち、当然のように日本語の次は英語を習得した私にとって想像を絶する人生を歩む人々がこの世界には大勢いる。言語と政治は切り離すことができず、また生活や思い出とも切り離すことができない。この言語はこの為にあると言い切ることはできず、それ故に不要だとも言えない。言語とは二次元的なものではなく、三次元的なもの。そういう考えが伝播すれば、もっと生きやすくなるかもしれない。 2022/04/24

black_black

18
世界には7000以上の言語があるという。歴史の中で強い言語に駆逐されてしまった少数派の言語の話、戦時中における踏み絵としての言語(発音)利用の話、国語教育の下、標準語ではない言葉を話すことに対する恥の概念の話など、言語をめぐるエピソードと考察をまとめた1冊。身近であるがゆえにほぼ無意識に使っている言語の暴力性や奥深さといった影響力の大きさを強く感じる内容だった。2023/04/17

kuukazoo

17
日常のあらゆる場所で日本語が通じ、翻訳のおかげで外国語の本も日本語でたくさん読める環境に慣れきっているので、この本にあるように言語が絶滅してしまうとか3世代で話す言語が違うために親子は意志疎通できても祖父母と孫はできないとか植民地化によって支配側の言語を強制されるとか言語が踏み絵になってしまうとか多くの困難があることに言葉を失う。一方で違う言語を話す同士であってもコミュニケーションを重ねる中で言語が混ざりあい新しい言語が生成するプロセスの柔軟さに驚く。たった1人になっても人は言葉と共に生きるのだなと思う。2023/12/26

Nobu A

12
タイトルに惹かれ新刊購入。言葉を通して思考しコミュニケーションを取る我々にとって「ことば」とは何か。様々な言語が行き交う世界に生きる私達に帰属意識を植え付け、大言語・小言語の関係性、道具的価値等が絡む中、重層的な関係性が形成され、同時に自己変容も起きている。言語を学ぶ意味を考えさせられる。陳腐な表現しか出来ないが、執筆者のエピソードが説得力を増す。いや、それこそが言語活動の意義であることを物語る。ただ、他言語を学ぶと母語に影響を及ぼすのは必然。その点にも触れて欲しかった。「夜のパピヨン」で僅かにあるが。2022/10/29

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