内容説明
日本映画の先頭に立ち続け、国際的知名度の高さも群を抜く黒澤明。その映画は公開当時、国内の新聞・雑誌等でどう評価されていたのか? 賞賛や酷評も含めた喧々諤々の批評を紹介しながら、作品の真価を緻密に論じていく。50年、全30作の黒澤映画評クロニクル。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
29
黒澤明映画の公開時の批評を読む『喧々囂々』。『羅生門』は日本人には理解されなかったがヴェネツィア映画祭グランプリを受賞したことで国内でも潮目が変わったとか、黒澤作品を論じる本にはそういった定説がまことしやかに書かれているが、実際のところはどうだったのか。著者は当時の新聞・雑誌に掲載された映画評を丹念に収集し読み解いていく。黒澤のデビュー作は『姿三四郎』だが、それ以前に脚本家として評価されていた黒澤に対して、この監督デビュー作はすでに注目が高かったらしい。(つづく)2021/07/28
コリエル
2
黒澤明の映画がそれぞれ発表当時にどう評されたかについてを紹介した本。最も有名な七人の侍でも絶賛とはいかないのは映画批評家が現在よりも『権威』があったからなのか。黒澤に好意的なのは初期からだいたい画面構成や演出について言及したものが多い印象。小説でなく映像作品なんだからまあ本懐と言うものか。2021/05/21