内容説明
藤原氏の一門ながら無欲恬淡な漢学者の娘として生まれた小市は、幼い頃から和歌や漢籍を学び並外れた才能を発揮した。
姉弟や伯母とともに暮らすなかで、疫病の流行や治安の悪化、勢力抗争に明け暮れる人々の浮き沈みを犀利なまなざしで見つめながら、自らの生きる道を模索していく。
永遠の名作を紡ぎ出した一人の女性の生の軌跡をたどる歴史大作。上巻では少女時代から20代までを描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
がらくたどん
65
カバー画がカワユクなって改版したことを教えて頂いて。単行本で読んで文庫になった時に再読しての「お久しぶりね、小市ちゃん♪」貫録の面白さ。なにが凄いって600頁近い上下分冊なのに「まだ紫式部にならない」ってこと。藤原一門の末端ながら地味な漢学者の次女として生まれ早逝した母の代わりに愛情深い若い伯母さんに育てられた内気な小市ちゃんが何を見て何を感じて来たのか。父の越前赴任に付き添うまでを描く。高官の寵姫となった姉や才気を隠さない10代の清少納言への少女らしい頑なな評価が人生経験でどう変わるかは下巻のお楽しみ♪2023/12/19
ゆずきゃらめる*平安時代とお花♪
16
紫式部の生涯を杉本苑子さんによって傑作平安時代が書かれてる。小市という幼名で書かれて時代と周りの動きに紋々して読書好きな少女を生きている。清少納言・・定子中宮の悲劇を知ったら嫁にいき遅れた彼女の素直な想いはどこにに・・。下巻へ!2023/12/24
coldsurgeon
9
源氏物語作者紫式部の一代記を物語る。作中では、小市という少女で登場するが、豊かではない学者の家庭で育ち、それなりに上級貴族との付き合いを経験しながら、成長していく。同世代を生きる女性たちとの出会いは、将来の宮廷での生活の予感が。彼女たちが、のちの清少納言であり、和泉式部である。主人公の思い描くような恋愛は、なかなか経験することはできず、「難のない人はいず、不条理や不公平を伴わない愛もない」と諭されれば、自然と、物語の中に理想の恋愛を求めていくようになったのかもしれない。2024/01/24
BECHA☆
5
紫式部の物語。今年の大河ドラマとは異なる解釈。上巻は越前に旅立つ手前まで。2024/04/06
めーてる
1
紫式部の生涯を、時の政治や時代背景と絡めながら書いた本の上巻。どこまでがフィクションでどこからが事実に基づいているのかは分からないけれど、細やかな筆遣いと紫式部の人物像がとても素敵だった。2024/04/17