内容説明
日本は古来、「紙」の国だった──
和紙の力で鎮護国家を築いた聖武天皇。
和紙が支えた徳川の天下泰平。
古代から現代まで、「和紙の国」の十一の知られざる物語
聖武天皇は和紙を用いて膨大な数の写経を推進し、国家の安泰を図った。
紫式部は和紙と紙巻筆の特性を生かして、源氏物語を書いた。
浮世絵は和紙なしには生まれない芸術だった──。
和紙は単なるモノではなく、日本人の心情に訴える精神性をも備え、
国家経営から芸術、日常生活への寄与まで、驚くほど広範囲に能力を発揮した。
黒子として歴史を生きてきた和紙に光を当て、日本史を読み直す。
<目次より>
第一章 日本人と「紙」との出会い
第二章 正倉院文書に見る古代の和紙作り
第三章 和紙の力で鎮護国家を築いた聖武天皇
第四章 和紙と紙巻筆が生んだ源氏物語
第五章 平家一門を西方浄土に導いた装飾和紙
第六章 雪舟の水墨画と日本人の心
第七章 和紙の蝶番(ルビ:ちょうつがい)が拓いた屏風芸術
第八章 和紙が支えた徳川の天下泰平
第九章 浮世絵は和紙の本懐
第十章 和紙の里・越前の文明開化
第十一章 現代人の心を包む和紙~日本画家・千住博の雲肌麻紙~
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こっことり
4
素晴らしかった。思いの外あっという間に読み終えた。和紙に対する認識が変わり、和紙を通して学び返す歴史も楽しい。仮名と和紙が同時期に現れた事で、源氏物語が生まれる一つの要素になった事や、権力者に保護された屏風や襖絵が輸入品で賄われた事に対して、庶民の支持を得た浮世絵が、和紙と共に発展していく様はとても興味深い。またドラッカーやジョブズを通して和紙の評価が再認識される事に、海外に弱い日本を寂しく思いながら、これも日本の本質なのかもと思ったり。和紙は懐紙をよく買いますよ。ホントに素晴らしいです。2024/02/06
takao
3
ふむ2024/05/11
skr-shower
3
考えてみれば、写経があったから髪も生産しなきゃいけないし宝物としても残った。外からの評価ではなく、日本の中から使っていくという機運が高まれば良いのだが。2024/03/18
狐狸窟彦兵衛
2
日本文化の基盤を支えた素材の歴史やさまざまな活用が紹介されていて楽しくよみました。産業としての製紙が、大きく日本経済を支えてきたという視点も新鮮でした。正倉院文書などに残る「紙」と「墨」の記録媒体としての優れた側面も改めて認識しました。兎に角「和紙」への愛に満ちた本です。2024/03/28
Kan Bin
2
学術的な本ではなく、和紙の豆知識がどんどん増えていくような本。おもしろく読めたけど、個人的な熱量とか推測が多くてちょっと気になっちゃった。和紙というフィルターをかけて日本史を振り返るとこんなに面白い!2024/02/20