マルクス解体 プロメテウスの夢とその先

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マルクス解体 プロメテウスの夢とその先

  • ISBN:9784065318317

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内容説明

資本主義をこえていく、新時代のグランドセオリー! 
人新世から希望の未来へ向かうための理論。
英国で出版された話題書Marx in the Anthropocene(ケンブリッジ大学出版、2023年)、待望の日本語版!

いまや多くの問題を引き起こしている資本主義への処方箋として、斎藤幸平はマルクスという古典からこれからの社会に必要な理論を提示してきた。本書は、マルクスの物質代謝論、エコロジー論から、プロメテウス主義の批判、未来の希望を託す脱成長コミュニズム論までを精緻に語るこれまでの研究の集大成であり、「自由」や「豊かさ」をめぐり21世紀の基盤となる新たな議論を提起する書である。

目次
第一部 マルクスの環境思想とその忘却
第一章 マルクスの物質代謝論
第二章 マルクスとエンゲルスと環境思想
第三章 ルカーチの物質代謝論と人新世の一元論批判

第二部 人新世の生産力批判
第四章 一元論と自然の非同一性
第五章 ユートピア社会主義の再来と資本の生産力

第三部 脱成長コミュニズムへ
第六章 マルクスと脱成長コミュニズム MEGAと1868年以降の大転換
第七章 脱成長コミュニズムと富の潤沢さ  

【原書への賛辞】
自然科学に関するマルクスの手稿への詳細な検証を通じて斎藤幸平が私たちに想起させるのは、マルクスがなぜ自然と資本主義の関係が根本的に持続不可能と主張したのか、ということだ。本書は、忘れ去られていたマルクスを私たちのもとに復活させる。長らく顧みられることのなかったマルクスを手がかりに、斎藤は、「脱成長コミュニズム」を力強く主張する。この理論的なアプローチは、「豪奢なコミュニズム」という抽象的な概念を対象にするのではなく、むしろ〈コモン〉の幸福を対象にして「豊かさ」という概念そのものを再編成しようとしている。
ティティ・バタチャーリャ(共著書『99%のためのフェミニズム宣言』)

傑作。これこそわれわれが待っていた本だ。斎藤は、マルクスに基づいて「脱成長」と「エコ社会主義」のワクワクするような統合を成し遂げている。ここにポスト資本主義への転換の秘密が隠されている。
ジェイソン・ヒッケル(著書『資本主義の次に来る世界』)

斎藤幸平はマルクス思想を完結したシステムではなく、運動のなかにある思想としてとらえている。彼の「脱成長コミュニズム」という果敢な表明は、現代のエコロジカルなマルクス思想、すなわち「人新世のためのコミュニズム」への決定的な貢献である。
ミシェル・レヴィー(著書『エコロジー社会主義』)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

122
夏の猛暑は資本主義のグローバル化による環境危機の現実を突きつけたが、旧ソ連で大失敗した社会主義は代わりになり得ないとされてきた。マルクス思想は経済発展優先を肯定し、自然保護など考えていないと見なされたのだ。しかし農業や自然科学の研究成果を「脱成長コミュニズム」として展開しようとしたマルクスは願いかなわぬまま没し、近代化に無批判なエンゲルスが『資本論』を編集した結果、誤解されたマルクス思想が残されたと著者は見る。しかしシンギュラリティが間近な今日、マルクス再評価で地球の未来を考えるのは遅すぎるのではないか。2023/11/15

koke

14
『大洪水の前に』をベースに脱成長コミュニズムへ論をつなげる。そのせいか戦線もマルクス研究から広がっている。ラトゥールやムーアの一元論に対しては、資本主義に固有な社会のあり方を分析できなくなるとして批判し、自然と社会の同一性と差異を捉えられるマルクスの方法論的二元論を擁護する。技術楽観論に対しては、消費主義的な考え方に挑まず搾取や不平等を再生産するとして批判し、人工的な希少性を生み出すこと自体を止めるべきだと主張する。かなり思い切ったマルクス像の訂正(©東浩紀)。日本でも建設的な論争が起きるといい。2023/11/21

す○○

5
「資本論」は読んでいないし出てくる学者も知らないので中盤まではチンプンカンプン。ただし斎藤先生の本は読んでいるため終盤はついていくことができた。資本蓄積と経済成長を求め資本主義は地球環境を破壊し人類の生存すら脅かし、生産手段を失った賃労働者は過密な労働環境で疲弊している。マルクスの思想がどこまで到達していたかは分からないが、本当の豊かさを実感するために「脱成長コミュニズム」は資本主義に代わる有力な選択肢だと思う。引き続き斎藤先生の本は読んでいきたい。2024/02/24

Yasuyuki Kobayashi

4
昨年よりトレンドの社会哲学者斎藤幸平氏のマルクス 資本論解説書。 理解は決して容易ではないが、資本主義が地球と人間を原材料とした経済システムであるということが良くわかる。2024/01/12

マウンテンゴリラ

3
本書は、マルクスの著作、論文、遺稿と、それに関連する批判や論考を細部にわたって読み解くという、かなり学術的な内容であっただけに、私のような素人読者が、充分に理解できたかというと、必ずしもそうとは言えない。しかし、その論考の意味については概ね理解でき、またその重大性については、大いに理解,納得できるものであった。あらためてマルクスが社会科学分野での大巨人であることを認識すると共に、自然科学分野への探求心と、それが現在の評価に反映されていない、あるいは誤解されていることなどが、具体的に示されている。→(2)2024/11/09

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