内容説明
おばあちゃんは背中が一番美しかったこと、下校中知らないおじさんにお腹をなめられたこと、自分の言い分を看板に書いたりする「やりかた」があると知ったこと、高校時代、話のつまらない「ニシダ」という友だちがいたこと……。大人になった「私」は雨宿りのために立ち寄ったお店で「イズミ」と出会う。イズミは東京の記録を撮りため、SNSにアップしている。映像の中、デモの先頭に立っているのは、ドレス姿の美しい男性、成長したニシダだった。イズミにつれられてやってきたデモの群衆の中、ニシダはステージの上から私を見つけ、私は逃げ出した。敷き詰められた過去の記憶とともに……。芥川賞候補の表題作他3編を収録。
目次
カム・ギャザー・ラウンド・ピープル
ススキの丘を走れ(無重力で)
透明な街のゲーム
マンディリオンの犬
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
小太郎
35
持ってたのは単行本だけど書影が出ません。単行本は「カムギャザーラウンドピープル」のみが収録。勿論積読本。確か題名に惹かれて買ったような気がします(ボブデュランだよね?)主人公のモノローグによって語られるこの物語。不思議なリアリティに満ちた話、話は少しづつズレながら進んでいきます。このズレがこの話の骨頂ではないかと。★3.52025/06/03
YO)))
12
集中巻末の『マンディリオンの犬』が特に良かった。 嘗ても今も人々と共にいた・いる犬たち。 彼らに纏わる場所や人々の記憶の結実としての像・形─或いは奇跡の結実としてのイコン。 形あるものの補集合としての宇宙。2023/09/06
一柳すず子
3
表題作の渋谷の町を逃げ回る描写がリアル。友達おせっかいはやめてやれよ。会いたくない相手には会いたくないのも大人の自由なんだよ。2025/05/10
Decoy
3
独特な味わいを持った4作品。表題作が、特に良い。話がポンポン飛んで、一見散漫な印象を受けるが、どうもあえて採った手法で、ベースに忘れたい・無かったことにしたい記憶が潜んでいることが何となく見えてくる。この「何となく」の匙加減に、巧さを感じた。2023/12/30
のじ
3
帯にひかれて買ってみたけど、4編のうちそとっかわの2編はとにかくわからない。どことどこがどうつながっているのか、この人とこの人の関係性はどうなっているのかとか。3つめの「透明な街のゲーム」がそんな中では独特の空気感を持っていてよかったかも。全体にとにかくむずかしかった。2023/09/20