内容説明
イスラムがわかれば世界がわかる。稀代の大学者、小室直樹の「真骨頂」、そして今こそ必読の書。2001年に起きた「911」の後、緊急刊行された名著を新装版として出版。今もなおイスラムと世界の対立構造は変わらず、日本人のイスラム世界への理解も十分とは言えない。争いの絶えない世界で、日本人はどうイスラム教を、キリスト教を、自らの信仰を理解すればいいのか? 宮台真司氏(社会学者)による解説を収録。
目次
第一章 イスラムが分かれば、宗教が分かる
アッラーは「規範」を与えたもうた
「日本教」に規範なし
第二章 イスラムの「論理」、キリスト教の「病理」
「一神教」の系譜 ・予定説と宿命論
「殉教」の世界史
第三章 欧米とイスラム――なぜ、かくも対立するのか
「十字軍コンプレックス」を解剖する
苦悩する現代イスラム
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ta_chanko
19
日常生活の細部まで規定されるユダヤ教やイスラームに対し、キリスト教は「信仰のみ」が問われる無規範宗教。仏教も大乗仏教の成立によってほぼ無規範宗教に。特に日本に入ってきた仏教は戒律が形骸化し、僧侶の妻帯も容認。「礼」を重んずる儒教も日本では学問化。日本でイスラームが広がらないのは、日本人が宗教的規律を受け入れないから。「隠れキリシタン」は可能、「隠れイスラーム」は不可能。西欧で民主主義や資本主義が広がり、世界を制するようになったのは、逆説的だがキリスト教世界が平等でなく、また金儲けを否定する宗教だったため。2024/12/17
めっかち
6
イスラム教について、比較的中立的な立場から書かれた本。日本だと、限りなくイスラムに寄り添った本が多いけど、さすがは小室博士。ユダヤ教、キリスト教、仏教、儒教……博覧強記の小室博士により展開される比較宗教論はとても面白い!2024/08/18
Eli
4
著者のイスラム教讃歌、ユダヤ/キリスト教酷評のギャップが凄いです。 キリスト教全般に文句をつけ、イスラム教の同例は褒めます。そのせいか、主張に一貫性が感じられません。 それ以外に特筆する点は、歴史認識の誤認(イスラムは強制改宗しなかった、シリアはキリスト教発祥)と古い情報(オスマンの富)が含まれている箇所、各宗教の解説を当事者たちは違うと否定するだろうと予想されることくらいです。その原因は、著者が宣告しているようにウェーバーに依存しているからでしょう。 個人的には読書時間がもったいないと感じる本でした。2024/02/25
神奈川健一
4
日本人のために書かれたイスラム教の解説本。本格的な内容ながら、宗教に詳しくない人でも理解できるように構成されていてありがたい。イスラム教がわかれば宗教がわかると力説されているが、本当にそうなので納得の内容です。一番面白かったのは、なぜ日本でイスラム教が流行らないのかという部分。日本に入ってきた仏教、キリスト教と比較しつつ、なるほどー!と感心させる解説が見事でした。興味ある方におすすめです。2023/11/02
startvalue
2
★★★★★2023/07/08