新潮文庫<br> 神よ憐れみたまえ(新潮文庫)

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新潮文庫
神よ憐れみたまえ(新潮文庫)

  • 著者名:小池真理子【著】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 新潮社(2023/10発売)
  • ポイント 11pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101440293

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内容説明

昭和38年11月、三井三池炭鉱爆発と国鉄の多重衝突という、戦後事件史に残る大事故が同日に発生。「魔の土曜日」と言われたその日の夜、12歳の百々子の両親は何者かに惨殺された。裕福な家庭に生まれ育ち輝かしい未来が約束されていた少女を襲った悲劇。事件は拭えぬ悪夢として胸のうちに巣食い、彼女の運命をも揺るがしていく――。一人の女性の数奇な生涯を描破した著者畢生の大河小説。(解説・佐久間文子)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まこみや

68
「無償の愛」とは言うが「無償の恋」という言葉はない。愛の根底が見返りを求めないのに対して、恋とは見返りを求めて儘ならぬものであろう。百々子も左千夫も所謂「MMK」(モテてモテてコマル)系キャラである。しかし二人とも思う相手からは見返りは返ってこない。一方通行の片恋である。左千夫に至っては百々子に対して何ら現実の行動は起こせず妄想の世界で自瀆するばかり。人は恋には落ちるけれど愛に落ちることはない。畢竟、恋とは自己愛の裏返しなのだろう。理屈でわかっていても抑え難いものなのである。これ以上言えばヤボになる。2023/12/28

Shun

38
昭和38年の同日に二つの大事故が発生し、経済成長に沸く世間を揺るがしたこの日は「魔の土曜日」と呼ばれた。そしてこの日、豊かな環境に恵まれて育てられた12歳の少女・百々子にとっては数奇な運命への転換点となった。愛する両親が何者かの手で惨殺され、裕福な家庭の令嬢に降りかかった突然の悲劇は世間からはゴシップの対象として関心を持たれてしまい、悲劇の渦中にある幼い少女にとってそれはあまりにも過酷な運命であった。彼女は周囲の人々の愛情に助けられ成長していくが、やがて驚愕の真相を知ることとなる。大河小説に相応しい貫禄。2024/01/05

くろにゃんこ

34
やっと読めました。百々子12歳で両親を惨殺されてから60歳までの話だった。最初推理ものかと思って読んだのでいったいどこに行きつくのかと。母親目線で読むと叔父の歪んだ思いが気持ち悪くてずっとハラハラ。たづさんの存在が癒しでした。警察は何を捜査しているんだか。何とも過酷な百々子の生涯。たくさんの名曲が出てくるので聴きながらの読書がおススメです♪2024/04/01

かつおさん

23
終章、百々子が回想するところがなんとも心に残った。裕福な家に生まれながら叔父に両親を殺害され、しかもその動機が自分への歪んだ性愛だったという衝撃的な運命を背負った百々子ほどではないにせよ誰しも人生の中で様々な出来事に遭遇し運命を背負い生きていく。老いて人生を回想する時、その先の人生、或いは更にその先に心安らかに思いを馳せることができる。左千夫の性癖は「正欲」を思い起させた。たづの家は、皆が貧しくも正直で逞しく生きていた昭和を思い出させてくれた。”不幸であったかは主観の問題”。兎に角、頑張って生きよう。2023/11/25

あつ子🐈‍⬛

21
『おすすめ文庫王国2024』で紹介されていたので購入してみました。とても良かった…。 12歳の頃に両親を惨殺された百々子。犯人は捕まらず、その後も襲い来る悲劇に耐えて生き抜いた一人の女性の物語です。百々子を終生守り続けた善き人代表の家政婦、たづさんが大好き。終章が哀しくてね(泣) 神様の恩寵と残酷な仕打ち。ただ一つ確かなのは、百々子は決して自分を憐れまなかったということ。辛いことが起こった時に自分を支えてくれる作品が、また一つ増えました。2024/02/06

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