内容説明
実家に出入りしていたヤバいおっちゃんたち、突然姿を消した憧れの同級生の行方、「天職なわけではない」と言い切る芸の世界を志した理由、「何かを失った人間の中で一番最強」な親友・フワちゃんの素顔……。生まれ育った大阪から多感な学生時代、芸人としての日常まで、懐かしくて恥ずかしくて、誇らしくて少し切ない24編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キク
61
人気芸人が出したタレント本、というレベルではない。正直、女性の書いたエッセイとしては今まで読んできたなかでこの本が一番好きだ。「何かを失った人間のなかで、一番最強」とフワちゃんについて語る「友だち」がすごく響く。「青春」「最高の仕事」「魂の居場所」とかは、有名作家だと逆に書けない傑作だと思う。さらけ出していながらも見せ方や切り口が鮮やかで、「人を笑わせる」というとと向き合い続ける芸人だから書けたんじゃないだろうか。加納の言う通り「明るいは知性」なんだと思う。2023/12/13
ネギっ子gen
55
【なんで私は、芸人になったんやろ~】エッセイストでありコラムニストの加納、第2弾エッセイ。生まれ育った大阪のことから多感な学生時代、芸人としての日常まで、とことん自分と向き合った全24編を収録する。「まえがき」で、<書かなかった思い出が頭をよぎります。中学の時にギター教室を1ヶ月で辞めたこと/高校の時に文芸部に入ってポエムを書いていたこと(はずい)、恋愛について(むちゃはずい)、その他いろんな嫉妬や挫折。自分でも思い返したくない部分を曝け出してはじめてプロと呼べるのでは? と自問してみたりもします>と。⇒2024/03/15
gtn
22
得体の知れない友人達を毎晩家に上げ、酒を酌み交わし管を巻く父。学問の機会は与えたいと、借金してまで娘を有名私立大に入学させた父。著者は、そんな父に揉まれ、人間力を身に着け、今に至る。そんな父に、著者は悪態をついているが、愛情と尊敬が見え隠れする。2024/04/06
ミヤビ
9
芸人になる前と後を綴ったエッセイ。 圧倒的センスの塊。芸人ってこともあって最後まで飽きさせない。終わり方が毎回味があっていい。 ちょくちょく文芸誌の方で読ませて頂いていたエッセイ。書籍化をとても楽しみにしておりました。特にフワちゃんの話が印象的でまた読み返したいと思っていた。軽い人だと思われがちな彼女のことを加納さんが「おもしれー」と感じているのが伝わってホッコリ。 お笑いって厳しい世界だけど青春がずっと続いてるような眩しさがあっていいな、素敵だなと思った。2024/06/02
nonicchi
8
Aマッソの加納さん、お名前は知っていたけど、あまりお笑い番組を見たりしないので、漫才はは未見(ごめんなさい)。この本の宣伝を兼ねてTBSラジオの番組に立て続けに出演されていたので、気になって読んでみました。東京住みなので「新宿駅の全貌」が殊の外面白かったし、自分なりの感じ方考え方(家になるべく帰りたくない)に感じ入ったり、新しい視点をくれる人だと思いました。芸人以前の事がメインでしたが、芸人になってからのヒリヒリした感じも良かったので、また読みたいです。2024/03/24