岩波現代全書<br> 環境の経済史 - 森林・市場・国家

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岩波現代全書
環境の経済史 - 森林・市場・国家

  • 著者名:斎藤修
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  • 岩波書店(2023/09発売)
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  • ISBN:9784000291330

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内容説明

人類の歴史は自然からの制約によって形づくられてきただけではなく,自然を変える行為の積み重ねでもあり,その自然改変の結果がさらに社会に影響を及ぼすという,相互作用の帰結である.先進国では珍しく緑豊かで国土の三分の二は森林に覆われている日本列島を対象に,国家と市場と森林の関係を解き明かす比較環境史.

目次

地図
はしがき

第1章 環境史へのアプローチ
はじめに
1 自然改変
人類史は環境破壊の歴史か/西欧の自然観と森林/アジアの自然観と森林
2 環境保全と近代
森林縮小の軌跡/森林転換の近代/途上国の問題/国家か市場か、トップダウンかボトムアップか/コモンズ
3 『文明崩壊』
ダイアモンドの検証例/イースター島の場合/要因群と歴史的文脈/国家と市場、トップダウンとボトムアップ
4 日本は特殊か
通念の問題/タットマンの解釈/育成林業と市場
5 比較事例分析
第2章 歴史統計から
はじめに
1 世界の森林被覆とその推移
森林とは/世界の動向
2 諸大陸、諸地域によって異なる趨勢
大陸別、地域別/ヨーロッパとアジア
3 「大分岐」
ポメランツ説/環境史の伝統的史観/問題点
4 人口と森林伐採──四つの事例
人口と森林/対象地域とデータ/若干の観察/分析的関係
5 小括
第3章 徳川日本の歴史的位置
はじめに
1 生態環境の危機
新田開発と人口成長/環境破壊の進行
2 危機への対応
規制/天然更新/地元開放の仕組
3 荒廃の原因
新田開発か都市化か/開発の実態
4 市場経済の二面性
環境破壊作用/農書作者たち/薪炭業
5 二つの主体、二つの対応
要約/論点
第4章 市場の機能──比較Ⅰ
はじめに
1 徳川日本の林産物市場
林産地/生産構造と生産性
2 伝統中国の林産物市場
江南の木材市場/育成林業/林業請負制度の日中比較/長期的趨勢
第5章 国家の役割──比較Ⅱ
はじめに
1 森林保全における近世国家
伝統中国/徳川日本/意図と意図せざる結果
2 ドイツと明治林政
プロイセン/明治の森林荒廃/森林法と多層な対応
3 結論


参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

13
2009年ノーベル経済学賞のE・オストロムは、特定の環境資源に利害ある当事者同士が自主的に適切なルールを決め、適切な執行すること、自主統治で保全管理が可能で、共有資源をコモンズとして維持・管理する場合(27頁)。美林は秋田藩、尾張藩の木曽谷、弘前、盛岡の各藩、天領の飛彈や伊那も(98頁)。森林の管理と保全という発想は、17C森林乱伐が起きたことへの対応として登場(142頁)。わたしはどうしても管理教育という管理 のネガな意味が嫌で、管理の上から目線には反発を感じてきた。 2014/09/27

sk

4
市場経済と国家が森林の育成・破壊に果たす役割についてのケーススタディ。面白い。2019/12/28

千日紅

4
著者は専業の環境史家ではなく、「経済学と人口学の知見と方法論を活かした実証や解釈を好む歴史家(ⅳ頁)」である。そのことからも、本書の売りは細部に踏み込んだ叙述というより、新たな分析視角に基づいた解釈にあると思う。人口増加とともに、森林面積は減少する。しかし、その減少がつねに森林崩壊につながったわけではない。本書の目的は、森林の「崩壊へといたらしめなかった要因、結果としては森林保全につながった歴史上の動きのなかで、経済活動に直接かかわる事象と問題領域を取りあげて検討する(4頁)」ことである。2014/06/30

井上岳一

3
江戸時代が環境調和型の社会だったという通説に,痛烈に異を唱える。そんなに領主や幕府は偉くはなかった。結局,森林破壊による社会の崩壊を避けたのは,地域の多様な取り組みだったという結論。だから「政府の地道で真摯な努力には万歳二唱を,そして万歳三唱は多様な取組をしている地域の人たちに」で本書を締めくくる。こういう真摯な研究の書はいいね。地味な本だけど。なんか感動した。2015/02/05

コカブ

2
「江戸時代の日本は一時乱伐で森林が荒廃したが、政府が保護政策を行って回復した」という言説がある。他国の状況等を比較して、これを分析した本。まず世界的な傾向として、森林伐採は近代以降に拡大した。欧州では19世紀に森林伐採が大幅に減少する一方、他地域ではこの頃から拡大している。江戸時代もこの傾向に沿って伐採が拡大したが、中期からは歯止めがかかった。一般には政府(幕府)の政策のためとされているが、実は地域住民にも利益になる政策(年季山・部分山)や、育成林業の興隆(木材が売れる事への農民の対応)が原因だという。2014/08/10

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