邂逅(わくらば)の滝

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邂逅(わくらば)の滝

  • 著者名:遠田潤子【著】
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • 光文社(2023/09発売)
  • ポイント 17pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784334100537

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内容説明

紀州の山間の小さな町に紅滝という美しい滝がある。その滝には運命の恋と信じた相手に裏切られた姫の、哀しい伝説があった。だが、彼女と男の、逃れることのできない、さだめの、のろいの恋は、そんな生やさしいものではなかった。現代から、大正、江戸、安土桃山、そして南北朝へと、いびつな螺旋を描きながら、二人の恋は繰り返す。切なく愛しい感動のクライマックスに心の震える傑作小説。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

228
遠田 潤子は、新作中心に読んでいる作家です。紅滝に纏わる連作短編集、人間の情愛は、現代から大正、江戸、安土桃山、そして南北朝と何百年も脈々と続くものでしょうか❓ https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/97843341005372023/11/25

パトラッシュ

189
紀州の山深い紅滝近くの旅館を舞台に、八百年も繰り返されてきた男女の悲しい恋の物語。自分よりも主家や義務を優先する男の身勝手に虐げられた女を祀った祠に秘められた怨念が、おそらくは血を継ぐ同姓の男が訪れる度に無残な復讐を求めてやまない。誰も故意に人を傷つけるわけではないが、悪がいないからこそ命を散らされるドラマが展開するのだ。男を許さない女の不条理が生む悲劇であるが、ファム・ファタールに魅入られた男の輪廻転生の系譜とも読める。互いに「永遠に自分から離れないで」と呪縛し合う関係だとすれば、あまりにも救いがない。2023/11/09

いつでも母さん

171
冷たく凍る滝の奥に燃える紅は見えるかー恨んで怨んでその想いさえ赦す日が来るのか・・そんな時代(時)を超え巡り合う想い。それは揺るぎない愛なのか。五つの時代に存在する茶屋・滝口屋と望月という男。どの時代も女が見事。これは再生と言う生々しい『生』の物語。これも遠田さんの世界・・好みは二話目のみよと五話目の久礼。この二人の女の凄さにゾクゾクした。2023/10/10

hiace9000

143
紀州の秘境、「紅滝(くれたき)」という美しい滝。そこを舞台にした伝説で織りなす連作奇譚。似たテイストの作品に夢枕漠の『黒塚』があった。ただ、本作は不死の人の数奇な運命を辿るのではない。南北朝から現代まで幾百世代の時に流されることなく、邂逅の度に渦巻く情念や愛欲に取り憑かれ、身を滅ぼしていく男女の姿がそれぞれの時代の目を通し描かれる。それは一途で美しくも、絶望的な愛の呪いのよう。蠢く緋色の紅、真冬でも稀にしか現れない氷瀑の色彩感や、氷の表面の濡れた艶めきにすら官能性を持たせる遠田筆が紡ぐ、大人のお伽草子だ。2023/10/31

のぶ

138
紀州の山間にある紅滝という滝をモチーフにした連作集だった。その滝には運命の恋と信じた相手に裏切られた姫の、哀しい伝説があった。そんな話を軸にして時代が話ごとに現代から、大正、江戸、安土桃山、そして南北朝へと遡る。どの物語も伝説にまつわる男女のさだめの、呪いの恋が描かれている。トーンは暗くて因習がつきまとっている。それぞれに内容はバラエティーに富んでいて様々な人間模様が繰り広げられる。どの話にも登場する望月という人物が、それぞれの謎に絡んでいた。遠田さんらしいドロドロした作品だった。2023/10/01

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