内容説明
《メシトピア》――突如施行されたヘルスケア政策は、食料自給率や健康寿命を改善し脚光を浴びた。
だが、その実態は基準に満たない「不健康な食事」、そしてそれらを摂取する「不健康な人間(アディクター)」を社会から隔離・抹消する危険な命の選別だった!
料理人を志すアディクターの少年・新島は、厚労省が率いる《食防隊》の魔の手から逃れるなか、生真面目な食防隊員の少女・矢坂弥登と出会い、ワケあって二人は禁制品であるカップ麺を口にしてしまう。
「お願い! 私もう一度、カップラーメンを食べてみたいの――!」
「おまえ食防隊だよな!?」
それ以来、ジャンクフードの味を知った矢坂弥登が捜査と称して通い詰めてくるように!? 果たしてメシは銃よりも強いのか……?
食と自由を巡るメシ×ディストピア! 命がけの逢瀬が幕を開ける!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
30
不健康な食事を取り締まる政策《メシトピア》のもと、厚労省《食防隊》が摂取するアディクターを取り締まる近未来。生真面目な隊員・矢坂弥登がアディクターの少年ニッシンと出会うメシ×ディストピア。戦いの最中に負傷して孤立し、助けたニッシンからもらった禁制品・カップ麺を口にしてしまった弥登。その味が忘れられず再会したニッシンに請い、押しかけた横須賀で突きつけられる政策の現実。何が正しくて間違っているのか、弥登の決断が横須賀の危機を救いましたけど代償は避けられなくて、ここからどう盛り返すのか今後の展開が楽しみですね。2023/09/09
きくりん
19
ジャンクフードや食品添加物が入った食べ物を徹底的に取り締まり、健康的な国を目指す政策が突如施行され、食の自由が制限された世界で、反政府勢力のニッシンが、政府の特殊部隊の矢坂隊長を拘束する。数日後、開放された矢坂だったが、単身でニッシン一派の居住区に乗り込み、密かに仲間になりたいと伝える。その理由は、「あの時、無理矢理食べさせられたカップラーメンの味が忘れられず、もう一回食べたい」だったのだ…というわけで、シリアスとギャグのバランスもよく、惹きつけられるラストで続きが気になりました。食と健康、複雑だなぁ。2023/10/29
真白優樹
11
行き過ぎた健康管理の法律により食の自由が無くなった近未来の日本で、料理人の少年と政府組織の少女が出会い始まる物語。―――選ばれる地獄、その先に覆す希望を信じて。 外も地獄、中もまぁまぁ地獄。そんな世界で信じた法律が齎した真の被害を目撃し少女が覚悟を決めていく物語であり、ディストピア的な苦さの中に確かな熱さのある物語である。選んだとて、襲われるのは選んだ、今までの報い。果たして囚われてしまった少女を助けることはできるのか。そしてこのくそったれな世界は変えられるのか。 次巻も勿論楽しみである。2023/09/08
シャトーブリアン
10
★★★★☆ コメディ寄りの作品かと思ったら内容はかなり真面目! そして・・・ここで終わるんかい(笑) 面白い世界観とストーリーのテンポの良さもありサクサク読めた。路地裏の描写がよかった・・・この社会のクソさをより一層深めた。 なにが“正しい“のか?ヒロインである弥登が自分の目で向き合いクライマックスにだした“答え“。このヒロイン・・・カッコよすぎる!!2023/09/23
シノミヤユウ
9
不健康な食品が禁じられた日本。法を守る食防隊員の少女と、不健康な人間とされた少年の出逢いが日本を揺るがす! 面白い!食の自由と心身の健康の関わりから人間の生を問い直す中で育まれる、甘酸っぱい恋愛に悶えました。不健康な人間=アディクターとして生きる主人公の夢と覚悟が、純粋で真面目なヒロインの意志の力と最高のシナジーを発揮して、世論に一石を投じるアツさは圧巻。 何と言っても、対立した立場にあった二人が、お互いの想いを理解し、ラブコメ展開も交えつつ心を通わせていく愛らしさが心に沁みます。2023/09/28