内容説明
「新自由主義」によって毒された日本の医療──カネさえあれば、どんな病気も治せるというのは幻想にすぎない! 慢性腎臓病を患い、生体腎移植を受けた「知の巨人」佐藤優が警鐘を鳴らす「本当の医療」とは? 医者と患者が「共同体」を作ってこそ行なえると説く、その理由とは? 対談の相手は佐藤氏の主治医である片岡浩史氏(東京女子医大病院)。片岡氏は京大法学部を出たのちにJR西日本に就職し、駅員や車掌を経験したこともあるという異色の経歴の持ち主であり、まさに「真の教養」を知るドクターでもある。
目次
はじめに――病と私(佐藤優)
第一章 医師と患者の「共同体」をどう作るか
第二章 「生き方の基礎」を見つけた場所
第三章 今の「医学部ブーム」が危ない理由
病と戦う――「異質なもの」との対峙(片岡浩史)
第四章 新自由主義が日本の医療を荒廃させた
第五章 人はみな「死すべき存在」である
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gtn
27
腎臓病、前立腺癌、冠動脈狭窄と大病に見舞われる佐藤氏。だが、最良の主治医片岡氏と巡り合えた。患者と医師との信頼関係から、人生の価値観まで語り合う二人。思い違いの平等思想は自己責任という負を生み、現在の潮流に沿わない長子相続型は、かえって弱者救済の責任が強者に備わると、敢えて問題提起する佐藤氏に、患者と向き合う中で、寄り添うべきかで強く指導すべきか常に悩んでいると共感する片岡氏。片岡氏も前歴のJR職員時代の経験を医療現場に活かしており、発言も示唆に富む。2023/09/28
Risuke Koshiba
21
佐藤優さんとその主治医で腎臓内科医の片岡先生との対談本で、内容も濃かった。JR西日本時代の経験を医師になってからも生かしているのはすごいことだし、片岡先生は、医師としてだけでなく、人間としてもとても立派な方だと思った。対談は多岐にわたるが、医師の現状の厳しさ、新自由主義について、平等の思想が結果責任につながりやすいことなど勉強になることが多かった。2023/09/15
スリカータ
13
佐藤優さんの他の著書で、妻から腎臓を提供して移植する件を知っていたので、それを踏まえた本だろうと身構えて読んだ。対談なので、片岡医師のユニークな生い立ちも交えて、病気の話題一辺倒でなかったところが良かった。医師の人格は勿論のこと、患者側も医師に対する素直さや正しい情報収集力と知性が要る。佐藤さんの本はこれからも読んで行きたいので、少しでも長生きしてもらいたい。2024/01/18
桜
13
Amazonで誤って2冊予約注文していて2冊手元に届く。インパクトのある到着だったので、2冊分何かを得ないと!とすくに読んだ。佐藤優さんの主治医の片岡先生との対談。珍しい組み合わせが新鮮で一気読み。病や医療的な話はもちろん、生き方、接し方、受験、保険、不正につながる恐れがあるためポケットマネーを使って仕事してはならないなど、ヒントとなる話をたくさん得ることができた。それにしても佐藤優氏はなんとも得難い作家。長年にわたって知的な刺激を沢山もらっている。是非体を大事にしていただき、沢山の著書を出して欲しい。2023/06/08
coldsurgeon
11
著者の一人、佐藤優氏が慢性腎臓病から人工透析に移行していたことや前立腺がんにより手術を受けていたことは知らなかった。いくつかの疾患に遭遇し、病院や医師との関わりが増えたことにより、病を知識としてどん欲に得た結果が、本書の作成につながったのだろう。歳の重ねが受け入れがたいものや病を増やすのだから、仕方がないところもあるのだが。医療現場に新自由主義的な考え方が浸透し、働き方改革などの規制緩和が進んでいる。個人と社会は基本的に損対するものであるから、個人が自由を押し出せば押し出すほど、社会的規範は小さくなるな。2023/06/29
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