内容説明
慈恵病院(熊本市)が開設した「赤ちゃんポスト」は“命を救う”という理念のもと、理解を広げてきた。だが、実際の運用は想定外の連続である。2023年3月までに預けられた170人。そのうち病院が想定した早期新生児は76人。残りの約半数が、ある程度育った赤ちゃんだった。開設第一号は3歳児だ。障害児や外国人の赤ちゃんもいる。出産状況が分からないため医療者の負担も大きい。育った子は「出自を知る権利」を持ち合わせていない。さらに同病院は19年末、妊婦が匿名のまま病院で出産できる「内密出産」も導入した。そして近年では、別の団体が新たなポスト開設の構想まで公言し始めている。開設されて16年――赤ちゃんポストが日本社会に問いかけたものとは何か?「命」を巡るノンフィクション。
文庫化にあたり、慈恵病院が新たに始めた内密出産の現状や、関西、北海道、東京でポスト開設を試みる人々への取材など、近年の動向を大幅加筆。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
丸々ころりん
19
2007年 望まない妊娠,産んでも育てられない赤ちゃんを救う為に設置された『赤ちゃんポスト 通称ゆりかご』 開設から16年 どれだけの赤ちゃんが救われたのかその後は? 望まれない出産は,女性側だけが大きな代償を払い父親であろう男性の姿が見えない。 人口減少問題は生み育てる社会として支援の足りなさが浮き彫りに。 著者が「ポスト」に批判的に書かれている気がするが,ほんとに産まれてくる命を守り,生まれてきて良かったと思える未来を支えていく事を考えさせられる一冊。2024/01/17
rokoroko
14
ルポしただけの本。だからどうするの?どうしたらよいの?と問いたくなる2024/05/10
☆やす
6
2007年、熊本に設置された『赤ちゃんポスト』。想定外に多くの赤ちゃんがそこに置かれた事実。障害を持った子、外国籍の子、3歳児まで置かれる想定外。日本における子育てや妊婦へのサポートとケアについて考えさせられる。「置かれた」子どもは幸せなのか。果たしてポストは「救い」なのか。日本が今も考えなければならない課題である。2024/04/15
晴
5
2007年に設置された「赤ちゃんポスト」をめぐる問題や想定とは違う使われ方をされたことについて焦点が当てられています。「赤ちゃんポスト」の創設者の熊本慈愛病院の蓮田院長の信念、現場の看護師や助産師視点のポストの考え方について理解が深まりました。新生児だけではなく、1〜3歳くらいの幼児が預けられたケースがあったとは…と驚き。 言い方は悪いですが、「赤ちゃんポスト」の設置が子どもの虐待防止の根本的解決にはならないだろうなと思いました。2023/09/11
aybug03
2
著者の赤ちゃんポストに否定的な意見が強くて読みにくい部分もあったが、それでも知らないことばかりだったので読んでよかった。 イメージしていた利用のされ方ではなかったこと。 秘匿出産の事。そして何をしても必ずメリットもあれば、その制度を悪用することもできるということ。 考え続けることをやめてはいけないということだけはわかった。2023/10/15




