内容説明
1995年6月19日、名門高校の教師申明(シェン・ミン)は何者かに殺された。殺害された生徒と恋愛関係にあったのではないかと疑われていた直後のことだった。慕っていた生徒や同僚、そして婚約者の谷秋莎(グー・チウシャー)からも見放されて――。先に起きた女子高校生殺人事件との関係などが疑われたが、結局真相はわからず事件は未解決となった。
時は流れ、2004年。谷秋莎は訪れた小学校で、すらすらと漢詩を暗誦する小学3年生司望)スー・ワン)と出逢う。父が経営する私立学園の良い広告塔になると思ったのだが、次第に司望に執着していく秋莎。ある日、ふたりは廃車のトランクから死体を発見する。それはあの申明の旧友の死体だった。
忘れたはずの因縁が甦り、そして司望にちらつく申明の影。天才小学生は申明の生まれ変わりなのか? いま、輪廻が巡り始める――。 中国のスティーヴン・キングが描く、異色の輪廻転生ミステリ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
56
一人の女学生が亡くなり、冤罪によって教え子、勤め先の学園、同僚、親友、家族、そして婚約者からも見捨てられてしまった申明は追い詰められ、死んだ。しかし、その死は殺人によるものだった。そこから9年後、申明の運命を変えた事件の関係者へ一人の少年が現れ・・・。華流ドラマ『山河令』で御馴染みの孟婆湯の使い方に思わず、唸ってしまった。だがお金持ち故に苦労知らずな上に自己中心的な馬鹿お嬢様、秋莎が司望に執着する様が気持ち悪すぎる。大体、借金取りに苦労している家庭にシャネルの化粧品を持っていく時点で絶句するのに司望を手に2024/11/16
オーウェン
48
最近邦訳が始まった蔡駿の2作目。 1995年に起きた教師の申明の殺害事件。 その事件は迷宮入りしたまま2004年、1995年に産まれた9歳の司望は申明の生まれ変わりだと口にする。 いわゆる転生ものとまったく一緒の設定だが、この司望はやたらと頭が良く、時折大人のような口癖に。 自身が殺された謎を解くべく、学校関係者や警察官に事態を訪ねていく。 ミステリではあるが、かなりの人数が出ては消えていく。 その中で少しづつ明かされていく過去。 そして話は下巻へと。2023/09/04
ばんだねいっぺい
21
展開がよく、ページをめくる手がとまらない。中国の日常に日本文化が自然に入っているのが面白い。2024/03/19
BECHA☆
11
名門高校教師の申明が、結婚・昇進を目前に教え子の殺人容疑を掛けられ全てを失った上に殺されるところから始まる。五年後申明の婚約者だった秋莎は小学三年生の司望という天才少年と出会う。それぞれの交友関係が時代を越えて綿密に張り巡らされ事件は連鎖していく。熾烈な大学受験がここでも描かれるが、漢詩のみならず、当たり前のように原語で詩を諳んじる人々に絶句。2024/01/31
ますみ
7
★5★2024/06/19