内容説明
遺伝が学力に強く影響することは、もはや周知の事実だが、誤解も多い。本書は遺伝学の最新知見を平易に紹介し、理想論でも奇麗事でもない「その人にとっての成功」(=自分で稼げる能力を見つけ伸ばす)はいかにして可能かを詳説。教育の可能性を探る。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
breguet4194q
114
「これは遺伝による影響。ただし、他の可能性も否定しない」みたいに、一つ一つの主張がグレー過ぎる。一つエビデンスを取っても、影響するであろう因子が多すぎて、結論がボヤけて仕方がない有り様に感じました。著者は「遺伝は教育に負けるほど弱くない。」しかし「遺伝をこの世界で形にしてくれるのが教育」と主張。ちょっと意味不明です。期待が高かったが故に、残念な読後感でした。2023/10/17
ta_chanko
23
一卵性双生児が別の家庭で育てられても、同じような感性に育ち、同じようなものに興味を持ち、似たような人生を送る。つまり子どもをどのように(まっとうに)育てたとしても、大した違いは生じないということ。それほどまでに、遺伝的資質の影響は大きい。だからといって教育や環境の影響がないというわけではなく、子どもの持って生まれた力がより発揮できるように環境整備することは大切。あまり小さなことに目くじらを立てず、おおらかに見守っていこうという気持ちにさせてくれた。2023/08/16
nnnともろー
6
家庭環境より遺伝と非共有環境の影響が大きい。自由度が高まるほど遺伝の影響が大きくなる。橘玲さんはそれを不都合な真実だと述べるが、安藤さんはそうではない。教育があるからこそ遺伝的素質が現れる。それをこれまでは個性と呼んできたのだろう。2023/10/06
らる
6
両親を5だとしたら、子供も5になる確率は高い…が、25%程度。2~3や、7~8になる確率もそれぞれ15%ある→兄弟であろうと似ない理由はこれ/学業成績の3~5割は遺伝。4割は親の育て方と家庭環境。本人の努力や先生の良し悪しの影響は小さい/遺伝の影響を、文化や制度で抑え込むことはできる。しかし、縛りのない、無意識のところに遺伝の影響が出てくる/自由な社会→遺伝の影響が顕著に見える社会/親が期待するほど、子は親の影響を受けない/遺伝をこの世界で形にしてくれるのが教育2023/10/05
scarecrow
6
教育は遺伝に勝てるか?という問いに対する答えは「なんとも言えない」であろうか。一卵性双生児を使った膨大なデータを読み解いていくわけだが、研究者ではないので、データの分析結果だけを知りたかった。要約すると、遺伝はするが、どの遺伝子を受け継ぐかは全くランダムなので、発現する結果については読めない。知能と遺伝の関係は年齢が上がるに連れて強くなる。性格についてはほとんど遺伝の影響である。ほどほどの家庭環境であるならば、子どもへの影響はそれほど気にしなくても良い。環境を過大評価も過小評価もしてはいけないということか2023/09/04