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内容説明
大久保利通暗殺後、犯人である島田一郎を主人公にした小説が刊行されて大評判となった。また、爆弾を投げつけられて一命をとりとめた大隈重信は犯人の勇気を称賛し、そのことで大隈の人気も上がった。日本には暗殺者への同情的文化が確かに存在していたのである。一方、原敬暗殺の真因は、これまであまり語られてこなかった犯人中岡艮一(こんいち)の個人的背景にあった。犯人が抱えていた個人的行き詰まり・挫折感は、現代の暗殺――安倍元首相暗殺事件にそのままつながるものである。近現代史研究の第一人者が、明治と大正の暗殺を丁寧に語り、さらに暗殺に同情的な文化ができた歴史的背景についても考察する。 [本書で扱う暗殺事件]●赤坂喰違の変(明治7年)岩倉具視暗殺未遂事件 ●紀尾井坂の変(明治11年)大久保利通暗殺事件 ●板垣退助岐阜遭難事件(明治15年) ●森有礼暗殺事件(明治22年) ●大隈重信爆弾遭難事件(明治22年) ●星亨暗殺事件(明治34年) ●朝日平吾事件(安田善次郎暗殺事件)(大正10年) ●原敬首相暗殺事件(大正10年)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
116
明治大正の政府高官暗殺事件から、日本独自の暗殺文化を考える。取り上げられた事例は単独か小集団の民間人によるもので、軍など組織的背景はない。どれも個人的な利害愛情で追い詰められていた感情が、巨悪と見なされていた権力者や富豪を討つという形で暴発したのを、世間は悪を倒した英雄として称賛した。社会の不安や戦争、貧困による逼塞に圧迫された庶民の鬱屈を霧散させた点で、911を起こしたビンラディンに対するアラブ民衆の拍手喝采に近い。暗殺者の言い分を汲み取ろうとする文化を生む土壌は何なのか、21世紀にも通じる部分がある。2023/11/03
skunk_c
62
明治・大正の暗殺および未遂事件についての本。明治に関しては有名な事件をサクッとまとめたもの。本書で重要なのは大正期の安田善次郎、原敬暗殺事件の犯人像だ。前者の犯人朝日平吾はその場で自害したが、著者は北一輝からの思想的影響を含めて昭和期のテロとの連続性を指摘している。一方原敬を殺めた中岡艮一に関しては、むしろ大正時代の個人主義的な思想との関連を指摘する。これは著者の戦前日本のポピュリズム論に通じるからと思うが、詳細で興味深い考察であった。しかし判官びいきにわざわざ「はんがん」と読みを振るのはいかがなものか?2023/11/25
天ぷ楽
18
筆者は明治における士族同士の諍いとしての暗殺と、大正以降の大衆性を帯びた暗殺とを分けて考察している。板垣や大隈が刺客に寛大な態度を取ったのは、傷を受けた自分の側にも士道不覚悟という落ち度があり、恥の意識を持っていたからではないか。幕末〜明治の政治はそのくらい血生臭いもので、武士の御政道の延長だったのだ。大正になると暗殺者の側に「僕を見てっ」という自意識が入ってくる。暗殺者は、周囲の評判が落ちている人物を目標に定め「奸物」のレッテルを貼り凶行に及ぶ。義憤という体裁を纏っているが、実際には超個人的理由である。2026/02/07
軍縮地球市民shinshin
15
明治・大正期の暗殺事件をまとめた本だが、主眼は大正期に起こった二つの暗殺事件。安田善次郎刺殺事件と原首相暗殺事件だ。前者の犯人像は社会主義とアジア主義を信奉していた朝日平吾という若者が起こした単独犯。「暴利を貪っていた」と朝日は思っていた実業家の安田善次郎を刺殺。動機は思想的・政治的だといえる。それに対して原敬を暗殺した中岡艮一は、一見政治的な動機かと思いきや、検察の捜査によって失恋が発端だったと本書は指摘している。予審判事が当時作成した資料が長く引用されており、臨場感があった。暗殺事件というと近年起きた2024/03/23
fseigojp
11
原敬の暗殺を読んでげっそりした 討たれ損2023/08/08
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