内容説明
大学1年の夏、杜崎拓は故郷高知に帰省した。親友・松野と里伽子のわだかまりも解け、気分よく東京に戻った拓の部屋に、年上の女性、津村知沙が入り込み泥酔し寝ていた。
「その年上の女、たたるぞ」という松野の言葉が拓の脳裏に甦る。不倫の恋に傷ついた知沙。離婚した父とその再婚相手との間で傷つく里伽子。どうしたら人を守れるのだろう?
さまざまな思いと痛みが交錯しながら拓は東京ではじめての冬を迎える―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
さてさて
147
『ふと高知の海を思いだした。夏休みに、里伽子と松野豊といった中村市に面した土佐湾の海は、夏だったせいもあって、こわいくらい青かった』。そんな『夏休み』の先に東京で大学生の日常を送る主人公の拓。この作品には二人の女性に翻弄されながらも自らのスタンスを大切にする拓の日常が描かれていました。30年も前の作品なのに古さをまったく感じさせないこの作品。近藤勝也さんのイラストが物語を絶妙に彩っていくこの作品。“新装刊”として登場し、アニメ映画も再上映されるなど、時代を超えて独特な魅力を放ち続ける素晴らしい作品でした。2025/09/22
よっち
41
大学生活最初の夏、故郷での同窓会に出席した里伽子と拓。しかし、東京に戻った途端、大波瀾が勃発する第二弾。帰宅した拓の留守アパートで、勝手に泥酔して眠っていた美女・津村知沙の存在。そして離婚した父の相手との邂逅。大学の先輩たちの恋愛に振り回されたり、父の相手に凹まされた里伽子を慰めたり、相変わらずな拓の様子が読んでていて懐かしかったですけど、それでも高校時代とはまた違った確かな成長が感じられて、これからもすれ違って喧嘩したりしながら、二人で絆を育んでいくんんだろうなと思えるその関係性がなかなか良かったです。2023/07/07
マホカンタ
40
年齢的には、間違いなく拓や里伽子の親世代であるのに、読みながらすっかり彼らの目線で物語に没入できるのは、私もあの時代、同じように地方から大学進学で上京し、一人暮らしをしていたからだろうか。前作で1人、高知で鎧に身を包み、弱味を見せまいと虚勢を張っていた里伽子の脆さが、今作では際立っている。里伽子の傍に、盾となり毛布となり寄り添う拓がいるからこそ、里伽子は立ち向かうことができるんだろうな。もしこれが、里伽子目線で語られた話だったら、生々しくって読めなかったはず。拓目線だからこそ成り立つ物語。読んでよかった2023/09/20
たるき( ´ ▽ ` )ノ
32
Kindle unlimitedにて。映画やってるのかー!観たくなっちゃうね、これは。この等身大な雰囲気が好き。拓の怒り方が可愛い。2025/07/16
遙
23
結婚まで漕ぎ着く二人が観たい・・・待望の新装版! 時間が進んでもままならない2人。里伽子の事で悩む時間がないくらい周りも青春で溢れてて、巻きに巻かれる拓。里伽子の今回の境遇は前作に増して同情してしまった。「みんなの気持ちがわかるって、だれの気持ちもわからないことよ。ただの八方美人なのよ。拓は」の台詞には、男って女の悪口嫌がるけど、共感して欲しい時もあるのよなんて、里伽子の気持ちがわかりみ過ぎた。 でも空気読み過ぎちゃったり、時に男気見せる拓が大好きだ。良い奴なんだ。 本当に良い作品。続きがあればなぁ・・・2023/07/12