内容説明
世界の南の端にある「花勒」「花陀」「雨果」「沙文」の四つの島は海神のものだという。
島々は、海神たる蛇神の抜け殻からできた、という。
各島はそれぞれの領主によって治められていたが、
領主を決めるのは海神に仕える巫女王の託宣だった。
巫女王のもとには「海神の娘」が集う。
娘らは託宣によって領主のもとへ嫁いでいく。
彼女たちを娶ることで、島は海神の加護を得て、繁栄するのだという。
今宵もまた、ひとりの巫女が舟に乗せられ、月明かりの下、島影へ近づいてゆく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
★Masako★
75
★★★★☆ 海神(蛇神)の抜け殻から出来たとされる島々からなる世界を舞台にしたファンタジー短編集。海神の託宣により、巫女王が住む島から巫女たちが島々の領主の元へ嫁ぐ。彼女たちを娶ることで海神の加護と繁栄を得られるという。辛い過去を背負いながらも領主に尽す巫女たちと、彼女たちを優しく受け入れ護る領主たちの姿に切なくも温かな気持ちになる。最終話の「琳と蕙」では、自分では決められない運命に疑問を持ち海神に思いをぶつける琳に共感♪ この世界観いいなあ。海神と巫女王の過去や馴初めも知りたいし、是非続編出して欲しい!2023/09/19
ひさか
75
2023年7月講談社タイガ刊。書き下ろし。鯨面の妃、丹の島の死人姫、黄金の窟、琳と蕙、の4つの連作短編。後宮の烏と同じ世界に属するが片や大陸でこちらは島国世界で、神さまが異なり、理りが異なる。連作とは思わず、1作目より2作目と、読み進むほどに物語世界へ引き込まれます。4話目はラストにふさわしい展開ですが、これ一冊で終わるのは惜しい。続きはあるんだろうか…。2023/08/27
きむこ
72
後宮の烏と同じ世界の短編集。島々は海神(わだつみ)に加護されていて、島の領主には海神が選んだ『海神の娘』が嫁ぐ。世界観は馴染みがあるのですんなりと引き込まれました。普通の子供だった彼女らが海神に選ばれて巫女となり、見知らぬ領主の元へ嫁ぐ怖さ、戸惑い、海神の使いとしての責任の重さ、そして少しずつ理解しあえて夫婦の絆を深めてゆく時間が、丁寧にゆるやかに描かれていた。やっぱり白川さんの世界はファンタジー大好きな私にはとても心地よいです♡★4.52023/09/14
はなりん
60
後宮の烏と同じ世界のお話でした。海神の託宣が絶対の世界で、海神に選ばれた娘は、託宣により決められた領主の下へ嫁ぐ。同じ世界の4つ(5人の娘)の嫁いでから夫との絆を結ぶ物語。物語になっている選ばれた娘は、色々あったけど最後は幸せになっていたけど、幼い頃選ばれ島に連れてこられた娘で領主の嫁として幸せになっているのがほんの一部で、大部分は島から出られずどうなるんだろうとか考えると、歪んだ世界だなぁってスッキリしない。2023/12/02
Chikara Tonaki
56
「後宮の烏」と同じ世界の、違う国の話。なかなか楽しめました。いかにも箱庭と言った世界観で、どことなく十二国記と重ねて見てしまいますが、神々の立ち位置が違うのが面白いかな。2023/08/21