内容説明
大地震で町がメチャンコになった。そのときのことをぼくはえにっきにかいた…阪神淡路大震災より前に書かれたSF童話の新装版!こども目線で淡々と描く厳しい場面がリアル
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
70
児童書。SF童話。少年の7月22日から8月31日までの絵日記。両親と祖母、飼い猫と暮らしているボクの目線から日記形式でつづる地震の話。リアルでこわい。塾にいるときに震度7の地震が発生し、窓際にいた子にガラスが刺さる。避難パニックで押しつぶされた子がいる。父親は職場から帰ってこれない。水がなくて争いがおこる。暴動がおこり、伝染病が広がる。おばあちゃんの格言がいい「なさけはひとのためならず」▽初版1989年の新装版。昔読んでとても衝撃的だったことを思えている。少年の成長が感じられる。2023/09/21
ヒラP@ehon.gohon
22
阪神淡路大震災の経験をベースにした、架空の物語ですが、現実感を持って受けとめられるお話です。 幸いその後の大災害で、人が伝染病で亡くなっていくような事は起きていないし、救援対策についても、ここまで劣悪な状況には追い込まれていないようには思います。 ただし人間のエゴについては計り知れないものがあって、報道の裏側で災害に乗じた盗難や、いがみ合いはどうしても起こっているようです。 その意味で、笑えないブラック・ユーモアではあります。2023/08/19
あおい
14
震度7の地震が起きて建物が倒壊し水も出なくなった。絵日記という形でマイルドに描かれているけど必要物資を求めて争いが起きたり伝染病が蔓延したり伝えている事はシビア。買物のために長時間並んだり水をもらいに行ったりした胆振東部地震を思い出した。災害に備えていたおばあちゃんの『情けは人のためならず」という言葉が印象的。2023/08/30
遠い日
10
新装版で。こういうよい本が読み継がれていくこと、その意味をきちんと受け止めたい。初出は1989年10月25日。第6回福島正実記念SF童話大賞受賞作品。阪神淡路大震災を下敷きに、大地震後の少年の心の揺れ、家族、友だちとの関係の変化など、細やかにリアルに描く。人心の乱れと世情の不安定さも子どもはよく見ている。2023/07/31
timeturner
4
地震でめちゃめちゃになった町で暮らす小学生の視点から物的被害だけでなく極限状態に置かれた人間の恐ろしさ、醜さもはっきり描かれている。そんな中でもたくさんのことを学び、成長した少年の最後の決意がたのもしい。現実にあった地震災害のあとに書かれたのではなく、1989年にSF童話として書かれたものの再刊というのが凄い。2024/03/26