内容説明
求めたものは一杯の冷たい麦酒(萩原朔太郎)、呑まぬくらいなら蕎麦屋へは入らぬ(池波正太郎)、おしまいにひとロライスカレー(向田邦子)。酒友との語らい、行きつけの店、思い出の味……。銀座、浅草の老舗から新宿ゴールデン街、各地の名店まで酒場を舞台にしたエッセイ&短篇アンソロジー。 文庫オリジナル
■目次
虚無の歌 萩原朔太郎
【酒友のいる風景】
はせ川(井伏鱒二)
中原中也の酒(大岡昇平)
青春時代(森敦)
酒の追憶(太宰治)
酒のあとさき(坂口安吾)
池袋の店(山之口獏)
音問(檀一雄)
詩人のいた店(久世光彦)
後家横町/酒のこと(小沼丹)
【行きつけの店】
タンタルス(内田百閒)
藪二店(池波正太郎)
私と浅草/札幌の夜(吉村昭)
鯨の舌(開高健)
「ままや」繁昌記(向田邦子)
ほろ酔いの背に響く潮騒(安西水丸)
新宿飲んだくれ/焼酎育ち(田中小実昌)
【文士の集う場所】
「ぼるが」に集う人人(石川桂郎)
昼間の酒宴/ある酒場の終焉(寺田博)
深夜の酒場で(中上健次)
バーの扉を開けるとき(島田雅彦)
てんかいそうろう(戌井昭人)
【酒場に流れる時間】
海坊主(吉田健一)
幻想酒場〈ルパン・ペルデュ〉(野坂昭如)
花の雪散る里(倉橋由美子)
ゆうすず(松浦寿輝)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はっせー
66
お酒を呑むのが好きな人や色んな作家さんの短編が読みたい人におすすめの本になっている!この本は豪華である。名だたる作家さんのお酒や酒場に関わるエピソードをまとめられているため面白い。井伏鱒二さん 坂口安吾さん 開高健さん 中上健次さん などなど。どの文章も面白くてそんなことあったのかと思うほどであった。こういったアンソロジーから好きな文章を探すのもありかもしれない!私自身読んでみて向田邦子さんの文章が頭に残っているため今度読んでみようと思ったのである!2023/11/22
Sam
54
朝でも夜でもなく、午後三時というのがいい。巻頭作は午後三時から一人ビールを飲む悦びを謳う萩原朔太郎「虚無の歌」。以下、25人の文豪や文筆家たちの酒の飲み方や行きつけの店、飲み友たちとの交友が次々と語られるがどれも楽しいし、ときどき「おっ?」という人物の名前が出てくるのもまた興味を唆られる。手元に置いてときどきふっと読み返したくなるようなよく編まれたアンソロジーであった。2023/08/14
venturingbeyond
32
久しぶりの上京で、大学時代の友人との飲み会に向かう丸ノ内線の車中で読了。 吉田健一、松浦寿輝の掌編を堪能し、島田雅彦の思い出話に「なるほど」と思うなど。あと、久しぶりに開高健のエッセイを読み、まあ本当に酒と料理を味わい尽くした人生だったのだろうと、再確認。実家の本棚から開高健の文庫本を30年ぶりに引っ張り出してみようと思ったり。2025/01/25
Karl Heintz Schneider
32
26人の文豪たちが好みの酒場を披露しあうアンソロジー。酒場が出てくる短編を拾い出したものだが文体が古い上、本題とはかけ離れた著述が延々と続くので、いささか読み辛かった。私にとっては残念な一冊。唯一面白かったのは池波正太郎さんの「藪二店」。「銭湯の帰りに、ふところに少しでも余裕があれば必ずと言っていいほど、最寄りの蕎麦屋へ立ち寄ったものだ。湯の帰りに蕎麦を手繰らないと、よく眠れない。」東京の下町の風情を著わす名調子。蕎麦屋で呑むのが江戸の粋とはよく聞く。私も一度試してみたいが日本酒を飲まない私には無理かも。2023/08/13
Porco
21
文士といえば切っても切り離せないのが酒!という時代に書かれた、様々な文筆家たちによる酒エッセイ(倉橋由美子など酒をテーマにした短編もあるが)。美味い酒それ自体や美味い酒を出す店は元より、酔漢仲間や酒の席でのご乱行などもあり、戦前の話もあるから読みづらいがとてもバラエティ豊か。酒に飲まれるのはまだ甘い、飲まれる前に飲み干せと痛飲を勧めてくるような人たちばかりの本でした。2025/07/22
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