ものまね鳥を殺すのは アラバマ物語〔新訳版〕

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ものまね鳥を殺すのは アラバマ物語〔新訳版〕

  • ISBN:9784152102508

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内容説明

1930年代米国南部。スカウトは弁護士である父のアティカスと暮らしていた。ある日、白人女性への暴行の嫌疑がかけられた黒人男性の弁護に父が就き、周囲の白人たちから反発を受けるが--。少女の無垢な瞳を通して当時の黒人差別を克明に記した不朽の名作の新訳

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ペグ

80
ひとつの信念を貫く事がいかに大変なことか〜と思う。けれどその信念が多数の人間達の良しとするものに盲目的に組みする事の安易さと狡さは本物の信念と言えるのか。そんないわゆる世間の目の浅はかさと残忍さが描かれる。特に人種差別について。そして子供達の好奇心は無邪気なだけに残酷だ。同調圧力に屈しない弁護士で子供達の父アティカスの強さが素晴らしかった。 子供の頃のカポーティが切なくて。やっぱりこの作品が好き!2023/08/20

ヘラジカ

50
読書好きにとっては「まだ読んでいない」と大きな声では言えない古典の一冊という印象がある。読めばここまで名作として語り続けられる理由が容易に理解できるだろう。全く古さを感じさせない完璧な小説かというと、個人的には疑問符がつくようにも思うが、この多層的な社会問題を子供にも読みやすい物語のなかに落とし込んで、読者に考えさせる蟠りを残しながらも綺麗にまとめ上げた手腕は驚くべきものだ。それも生涯で(殆ど)この一冊しか書いていないというのだから尚更である。今読んでも思わずハッとさせられる名文がいくつもあった。2023/06/26

雪月花

42
名作中の名作。何十年も前に映画を観て心に残った「アラバマ物語」の新訳が出たので手に取った。1930年代のアフリカ系アメリカ人への差別と偏見、白人達の間にもある格差社会が主人公の少女スカウトの目線で描かれる。スカウトの父が、白人女性によってレイプ犯の嫌疑をかけられた黒人男性の弁護をすることにより、スカウトの一家への風当たりは強くなり、裁判の日を迎える。スカウトと兄ジェムと夏だけ過ごしにくるディルの3人の関係と成長が微笑ましい。無垢な人間を傷つけるのはものまね鳥を殺すこと、と語る父の正義が心を打つ。2024/02/16

二戸・カルピンチョ

21
1930年代、アメリカ南部アラバマ州。弁護士のアティカス・フィンチ、息子のジェム、娘のスカウト。主にスカウトの主観で物語は進む。南部での黒人差別、下級白人への偏見、個性、男とは女とは、人が間違うことと正しくあろうとすること。全てがこの架空の集落から世界へと、そして現代へとつながる問いを投げかける。幼いスカウトやジェムの成長譚でもあり、スカウトが見たもの感じたものを通して、私も共に心が僅かに豊かになり、特に裁判シーン以降、ずっと胸が熱くなりっぱなしだった。完璧な作品、かんっぺき。2023/10/29

ねむ

19
『アラバマ物語』新訳。実は読んでいないことをおおっぴらに言えなかった名作の一つをようやく読んだ喜びも大きいのだけれど、もっとおどろおどろしい黒人差別の話だとばかり思っていたので、案外さわやかな成長物語風味で読後感がよかった。もちろん、米南部の黒人と白人の階級差を象徴するような裁判のくだりは重たいのだけど、黒人被告の弁護を引き受けた父の信念が強く感じられて救いがあったし、家に閉じこもっているのか閉じこめられているのかわからない隣人ブーとスカウトたち兄妹のふれあいも心温まった。無垢からの卒業も興味深いテーマ。2023/09/19

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