内容説明
戦争の時代,そして戦後を通じて,日本人は「悲しむ力」を失い続けてきた.戦地で残虐な行為を行った将校,軍医,憲兵…….彼らは個人としてどのように罪を意識し自らの行為と向き合ってきたのか.精神病理学者による丹念な聞き取りをもとに解明する.罪の意識を抑圧する文化のなかで豊かな感情を取り戻す道を探る.
目次
序章 罪の意識を抑圧してきた文化
第一章 集団への埋没
第二章 道ならぬ道
第三章 心を病む将兵たち
第四章 戦犯処理
第五章 坦白,認罪
第六章 悲しむ心
第七章 過剰適応
第八章 服従への逃避
第九章 無邪気な悪人
第十章 洗脳を生き
第十一章 “させられた”ではなく
第十二章 功名心
第十三章 脱洗脳
第十四章 良識
第十五章 父の戦争
第十六章 引き継がれる歪み
第十七章 感情を取り戻す
あとがき
岩波現代文庫版あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
com.
2
ずーっと読むのが辛かった。こんなしんどい本、初めてやった。2023/02/24
CBF
2
(★★★★☆) 戦場で残虐行為を行った兵士たちの心情を精神病理学者が丹念に聞き取る。集団に順応することを求められる社会において、抑圧された「個」の感情を私たちはいかにして回復するのだろうかー。 原爆被害など、日本の戦争をほぼ被害の側面からしか自分が学んでいなかったことを痛感させられた。また、戦争の傷が個人を超えて社会全体や次世代へ影響を及ぼすということを読み、自分含め今も無関係とは言えないんだなと感じた。 『私が罪の意識を問うのは、他者の悲しみにやさしい文化を創らなければ、平和はないと考えるからである。』2022/11/02
せきも
1
戦争時の謝罪はもう終わったとする日本と謝罪を要求する国の意見の相違はここにもあるかもしれないですね。事実が曖昧にされている事で戦後世代はどう考えて良いのか分からない状況になっているような気がします。2024/08/04
はやみん
1
日中戦争、太平洋戦争に従軍した人たちが行った残虐行為の告白には精神を削られるが、本書の本題は行為そのものではなく、それを行い得る精神構造と、戦後をそれを罪と認識するにいたる過程の分析にある。そして、現代に生きる私たちが直接的な加害者ではないとしても、罪を罪と認識できること、それのできる感情を持つことの重要性を強調し、一方でいかに現代日本が意図的、非意図的にせよ、その感情の希薄な社会であるかを指摘している。2023/06/22