内容説明
世界の見方を変えた名著、待望の新版! 原著50周年記念版を底本とし、精緻な新訳で贈る。I・ハッキングによる序説を巻頭に付す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
52
感想はこのブログ日記にて幾度か呟いてきた。想像以上に手堅い、ハードな内容だった。訳書が出来からも半世紀が経過している。この新版が出たのは3年前。刊行は仄聞していたが、過日書店に行った際、店頭で見かけたのを縁と思い、今更ながらだけど、通読してみた。やはり、若い頃に読んでおくべきだったと後悔。感想は吾輩ごときが述べるのは僭越だろう。自分としては、物理学や化学、生物学などの一般向けの本は少なからず読んできたので、話としては既読感があって、本書を読むのに資していたのはちょっと嬉しかった。関心ある方は一読を。2025/11/14
kazutox
13
有名な本。オリジナルは1962年、本書は50周年版の訳で、イアン・ハッキングによる「序説」付き。1) 科学革命だけでなく、科学という人間の営みはどんなものかを述べている。2) 大文字ではなく小文字の科学革命の話が中心。コペルニクス~ニュートンは少なめ。3) 「パラダイム」概念は科学以外の分野にも敷衍していいのかどうかはっきりしない。「追記」の最後でクーンは「そもそもパラダイムという用語は他分野から借りてきたもの」みたいなことを言っている。「パラダイム」のあり方に独自の特徴があるのが科学、ということかな?2025/07/21
Ex libris 毒餃子
13
「科学革命」と「パラダイム」の概念を打ち出した名著。具体的な例示を多用してアノマリーに陥ったあとの科学が「パラダイムシフト」を起こすのという理論を原著で読めて良かったです。2023/07/23
borisbear
7
補章「追記1969年」が著者の意図理解に有益だった。著者が特に重視する「模範例としてのパラダイム」概念で一番言いたかったことは、それが命題知(know-that)ではなく能力知(know-how)として機能する、ということのようである。当時の科学哲学は論理的手法中心で、科学を命題体系として見る命題知中心主義が支配的だった。しかし、研究実践を直接導くのは能力知の方で、その点著者の言う通りだと思う。それは特定の類似性認識の元で物事を把握する能力などだが、著者はできる限り念入りに説明してくれていると思う。2023/07/16
Akiro OUED
4
今では手垢にまみれのパラダイムシフトという概念、科学の歴史だけに見られる現象だ。哲学とか芸術では。パラダイムシフトはない。確かに。プラトンの著作は古典として未だ現役だけど、ニュートンのプリンキピアは退役済みだ。右巻きが唱える皇国史観への強引なパラダイムシフトは、本書の悪用だ。2024/08/11




