内容説明
世界の見方を変えた名著、待望の新版! 原著50周年記念版を底本とし、精緻な新訳で贈る。I・ハッキングによる序説を巻頭に付す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ex libris 毒餃子
13
「科学革命」と「パラダイム」の概念を打ち出した名著。具体的な例示を多用してアノマリーに陥ったあとの科学が「パラダイムシフト」を起こすのという理論を原著で読めて良かったです。2023/07/23
kazutox
12
有名な本。オリジナルは1962年、本書は50周年版の訳で、イアン・ハッキングによる「序説」付き。1) 科学革命だけでなく、科学という人間の営みはどんなものかを述べている。2) 大文字ではなく小文字の科学革命の話が中心。コペルニクス~ニュートンは少なめ。3) 「パラダイム」概念は科学以外の分野にも敷衍していいのかどうかはっきりしない。「追記」の最後でクーンは「そもそもパラダイムという用語は他分野から借りてきたもの」みたいなことを言っている。「パラダイム」のあり方に独自の特徴があるのが科学、ということかな?2025/07/21
borisbear
6
補章「追記1969年」が著者の意図理解に有益だった。著者が特に重視する「模範例としてのパラダイム」概念で一番言いたかったことは、それが命題知(know-that)ではなく能力知(know-how)として機能する、ということのようである。当時の科学哲学は論理的手法中心で、科学を命題体系として見る命題知中心主義が支配的だった。しかし、研究実践を直接導くのは能力知の方で、その点著者の言う通りだと思う。それは特定の類似性認識の元で物事を把握する能力などだが、著者はできる限り念入りに説明してくれていると思う。2023/07/16
Akiro OUED
3
今では手垢にまみれのパラダイムシフトという概念、科学の歴史だけに見られる現象だ。哲学とか芸術では。パラダイムシフトはない。確かに。プラトンの著作は古典として未だ現役だけど、ニュートンのプリンキピアは退役済みだ。右巻きが唱える皇国史観への強引なパラダイムシフトは、本書の悪用だ。2024/08/11
かみかみ
3
科学革命(パラダイム・シフト)が起こるメカニズムをパズルの比喩を用いて解き明かし、その概念を定着させた古典的名著。大学時代の恩師に紹介された本。すでにあるものを説明する通常科学のみでは革命は起き得ず、アノマリー(逸脱)によって危機が惹起されることでパラダイム・シフトに至るという。ニュートンやラヴォアジエの果たした役割がわかった気がする。2023/12/15