内容説明
売れないファッション・モデルとして貧乏生活を送るサト子。実は自らも知らぬ間に、時価13億円の鉱業権の相続人に指定されていた！ あれよあれよという間にサト子は、一攫千金のにおいをかぎつけた実業家や弁護士らに囲まれることに。莫大な資産はいったい誰の手にわたるのか、肝心の鉱山の実体は――。小説の魔術師・久生十蘭が、大きな運命に翻弄される女性の生を鮮やかに描く。今も色あせない傑作ミステリ。解説・町田康
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Apple
28
序盤は、語り口も軽く、主人公と思しきサト子という人物が面白そうなキャラクターであったので、期待できた。だんだんいろんな人物が登場してきて、話が淡々としているような感じで飽きてしまいました。こういう頃の日本小説は、文章書くのはうまいと感じるんですが、忙しい日々の合間に読むには風味がどうしても薄く感じてしまうのかなと思いました。たくさん本を読む時間があれば、また感じ方が違ったかなという本でした。2024/01/19
Kotaro Nagai
14
本作品は昭和29年10月から30年3月まで毎日新聞に掲載された長編。主人公は売れないモデルのサト子24歳。彼女が隣家に入った空き巣の青年をかばったことから彼女自身の遺産相続に巻き込まれていく。十蘭お得意の場面転換の速い話術でサト子は彼女を取り巻く有象無象の輩に翻弄され、いったい誰が彼女の敵なのか味方なのかわからないまま終盤まで進んでいく。新聞小説の性格上十蘭得意の猟奇趣味はないが、人物描写が冴えて楽しめる作品になっている。2023/06/24
鷹ぼん
8
やっぱり久生十蘭、流行ってるんですかね。角川文庫からも本書が出て、いよいよブーム到来？ 相変わらず、おしゃれでハイカラなタッチ。知らないうちにウラニウム鉱をめぐる権利の奪い合いに巻き込まれ、「何が何だか」状態で翻弄さまくる主人公のサト子。味方のようにふるまう人が実は…だの、見るからに胡散臭い人間が味方だったりと、サト子を取り巻く人たちが鮮やかに描かれている。牛車で洗浄野菜を売りに来て「稗つき節」を歌う坂田青年の風貌とかね。こういう人たちが次々現れるから、このタイトルかと思ったら、おお、そういう意味か！ 2023/07/29
ふーま
6
マステコラボカバーに一目惚れして購入。いざ読んでみると、全体的にお話の展開がごちゃごちゃしててちょっとわかりにくかったのと・・・言いにくいんですが一番残念だったのが裏表紙のあらすじが盛大なネタバレ・・・先に裏表紙のあらすじを軽い気持ちで読んだ私が悪いのですが、いざ本編読んでみて驚きました。古いお話だから仕方ないかもしれないけど・・・これから読む予定の方は裏表紙のあらすじを読まずに本作を読んだ方が楽しめるかもしれません。モデルさんが主人公ということもあってとてもオシャレでモダンな装いばかりで癒されました。2023/09/08
京橋ハナコ
5
主人公は何も知らない。彼女の周りはわかっているらしい。話は主人公ベースで進むので、最初のうちは何がなんやら読んでるほうもわからない。話の落ちもすっきりはしない。最後は若い人たちがおおらかなのが救いなのかな。2023/08/19
