内容説明
今こそ「戦争と平和」を冷静に問う
2014年、ウクライナ政変以後のロシアの行動は、我々日本人には”異様”に映る。だが逆に、「アメリカの核の傘」の下で平和を享受してきた戦後日本は、ロシアの眼からどう見えているのか? 急変する国際情勢の中で、東アジア地域の安定を生み出すために必要な、国防の論理とリアリズムとは何か。外交官としてロシアとの領土交渉などに関わってきた著者が、近視眼的に見ていては分からない日本の現在地と課題を歴史的に解き明かし、ウクライナ戦争以後の中長期的な安全保障のあり方を問う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まーくん
87
外務省入省、ロシア駐在、本省ロシア課勤務など経て(10年+)退官。ロシア(ソ連)にとって日本はどのような存在なのか?どう見えてるのか?相手側の立場に立って考えると見え方が変わってくる。勿論、何も相手側の立場に同意するとか納得するとかではなく、相手側の目線で見るとどうなるか知っておくことは大切である。特にロシアのように歴史上の経緯から被害妄想気味かつ協調性のの欠けた国が相手の時は重要。地政学的対立をシアター(場)とアクター(当事者)に分け、戦前の日本やロシアはアクターで中国・朝鮮はシアターであったとする⇒ 2023/06/19
ま
37
日本はロシアと話してるつもりでも、ロシアが見ているのは日本の背後にいるアメリカだ。ただ全体的には本題より副題が適切な内容に感じた。近現代の国際関係見てると、5年先が全く予測不能なのは100年前から変わってないなと思う。同盟してたかと思えば敵どうしになったり。その意味でいえば、「専守防衛に基づく必要最小限の軍備」と一言で言ってもそれが具体的にどの程度かについては周辺国の軍事力の規模や対外政策等変数が大きく言い表せない。逆に国力が正確に数値化されちゃうと大国が算段をつけちゃうから開戦に歯止めがかからなくなる。2023/11/21
はとむぎ
17
国家間の関係性はホッブズの言う万人の万人による闘争状態とのこと。法律の権力が確立された国内だと、個人間の戦争(殺人など)が発生すれば法律に基づいてさばかれ、秩序は維持される。国家間は、そうではない。だからこそ自国の国力と関係国の利害を考慮して外交を行わなければならない。ウクライナが自国の安全を望んで選んだNATO加盟は、結果悲惨な戦争を招いた。結果を考えると、大失敗と言わざるを得ないのかなぁ。2023/12/10
nagoyan
14
優。80年生、東大教養学部、外務省でロシア畑を歩み、20年に退官。以後著述業とある。モーゲンソー流の「リアリズム」的な力の信奉者風の国際社会認識は、ロシアの、というよりはこの著者のものかもしれない。著者によると、国際社会のプレーヤーは真の主権国家といえる一握りの大国で、あとは衛星国家かゲームの客体しかない。彼は、敗戦後の日本は衛星国家に過ぎないという。アメリカのひとりよがりな外交姿勢や、満州国とドンバスの類似性を指摘しながら、どこか旧日本とロシアに同情的な筆致も少し気になる。過度な単純化も気になる。2023/05/24
日の光と暁の藍
7
【極東における国際政治】地政空間という概念を用いて近代日本外交史を解説する。極東の国際政治における主要国家間の利害の一致不一致を非常に明快に説明している。例えば、日露戦争以前、ロシアを抑えるという点で日英米は同じ利害を共有していた。しかし日露戦争に勝利した日本は、満洲や中国全土の勢力圏をロシアと認め合うようになる。これは英米にとっては不満だった。満洲その他の利権を互いに保持したい日露と、満洲その他の利権に食い込みたい英米という構図が浮かび上がってくる。各国の利害がせめぎ合う様子が明快に解説されている。2024/08/05
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