内容説明
古代人には「心」がなかった――
「心」が生まれて3000年。
「心の時代」と言われる現代、自殺や精神疾患の増加が象徴的に示すように、人類は自らがつくり出した「心」の副作用に押し潰されようとしている。
そろそろ、「心」に代わる何かが生まれてくるのではないか?
シュメール語、甲骨文字、聖書、短歌、俳句・・・。
古今東西の「身体知」を知りつくす能楽師・安田登氏。
「心」の文字の起源から次の時代のヒントを探る。
あっちとこっちをつなぐ不思議な力!
異界と現実の間(あわい)の存在(能におけるワキ方)であり、古代文字の研究も重ねる著者が、まったく新しい時代の姿を求め、「あわい」の世界に飛び込んだ・・・!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
yamaneko*
49
此処ではない何処かとの間をつなぐもの。昼の社会生活と夜の世界。効率的な都市と山や海辺のまち。頭ではない、身体感覚を取り戻すことで「心」の重心を軽くできる。この本を読むこと自体が、どこに連れて行かれるのかわからない、夢うつつの世界に迷い込む感じでした。2014/07/08
tatsuya
36
文字が心を生み、時間をつくり出す。人類は時間を知ったことで不安を抱えてしまった。心はそもそも時間の流れに対して無力という欠陥がある。そこで、不安から逃れるために、文字や心に代わる何かが、必要になってくるのではないか。その一助となるのが「あわいの力」ではないか。というのが著者の主張だった。あとがきの中国のトイレの話や一夫多妻制の話も衝撃的だった。自分を縛る「心」から自由になってはどうですか、と諭された。2016/11/24
あちゃくん
33
能楽師の安田さんが書かれた本です。話の内容が、能楽から甲骨文字や聖書や俳句やと多岐にわたり、全然咀嚼しきれずまたしたとしても嚥下できた自信がないですが、安田さんが持っている知識の深淵を少し垣間見られたことは嬉しかったし、今後も著作に触れていきたいと思っています。2015/01/11
zag2
29
安田さんの本は、読む度に「ああこの本に出会って良かった」と思いますが、今回もその思いを新たにしました。学生時代に数年間能楽のサークルにいた後、長きにわたって観客として能楽を観てきましたが、安田さんの本を読み始めたことで、能の意味がようやく少しずつですが本当に分かってきたように感じています。安田さんのように様々な経験を積まずに、ここまで来てしまいましたが、本を読むことで世界の広がりを知ることができ、これからの人生が少し豊かになるような気がします。2021/10/20
Sakie
20
文字の発生が心という認識を生んだ。それまで身体の思考に従って生きていたのが、心の存在を前提に思考するようになったために、たくさんの矛盾や主客転倒が生まれた。人生を辛くするのは「心」の仕業。心と世界のあわいとしての身体など、様々な切り口から心について、「あわい」について説明する。安田さんは多彩な能楽師だとは思っていたが、麻雀やポーカー、甲骨文字、ナイトクラブでのピアノ弾きなど経験も豊富なら読書の質と量も生半可ではなく、古典読解に基づく文章は、平明なのにずっしりきた。 2019/05/29




