内容説明
芥川賞受賞後、苦しみながら構想した大長編『石の聲』。没後発表され、単行本として刊行された第一章、その後新たに見つかった第二章と第三章の一部、『石の聲』執筆の苦心と意気込みが伝わる編集者への書簡、作家になる前に綴った胸を打つエッセイ、作家からの追悼文を収録した、オリジナル決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
71
【詩は、死に通じているから詩か――】『石の聲』第一章~三章、編集者への書簡、追悼文、実妹による回想記、年譜などを収録。2023年刊。温又柔さんに導かれ読んだが、なぜこの作家をこれまで読んでこなかったか、悔やむことに……。『石の聲』第一章から。<言葉たちは、待つのだ。私によって掴まれていくのを、私によって選ばれていくのを、意識のなかに漂いながら待つ。その過程で言葉の方が私を引き寄せ、他の言葉を手繰り寄せてくる。私によって掴まれた言葉たちは、言葉そのものが持つ遠心力と求心力とで意識に刻みつけられていく>と。⇒2026/02/09
たまきら
39
新刊コーナーから夫のチョイス。韓国の舞踊家に会いに東京から自転車でソウルに行くような人ですから、いろいろくみ取れることがあるんだろうな。1955年、日本に帰化した済州島出身のご両親から生まれた在日女性、という背景を文章から拾い上げながら、彼女が家庭や社会で経験した思いを、行間からも感じた気がする。それは似た境遇の在日である友人たちが脳裏に浮かぶからであり、韓国の舞踊がずっとちらつくからである。異邦人である苦しみが、狭間にいるからこそ表現できる世界がある。…もっと書きたかっただろうな…。2023/07/19
やまはるか
13
長編として構想されたが、作者が急性心筋炎で急逝し、書き終えた1章を本書に収めた。在日韓国人2世の青年を主人公に、長大な物語を思わせる筆致ではじまるが、後半3分の1辺りで、韓国留学中の主人公に恋人から届いた手紙で物語が動き出して終わる。「人は、時の中で、生のさまざまな相貌に向き合い、過去を体験し、記憶を通して観念化された生を生きなおす。生きなおすことで、作っていく。作らねばならず、観念化せずには作り得ないことを知っている。」在日韓国人に限らない。我が生をどのように観念化するのか。重い課題を突き付けられた。2026/06/03
真琴
9
37歳の遺作で未完の長編小説『石の聲』(10章構成のうち3章まで)に「わたしは朝鮮人」「編集者への手紙」を併録。 中上健次とも交友があり、そのことに触れたものをどこかで見たような見ないような・・・記憶が曖昧。2026/02/21
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