ちくま学芸文庫<br> リヴァイアサン(下)

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ちくま学芸文庫
リヴァイアサン(下)

  • ISBN:9784480511478

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内容説明

政治的共同体を永続させる諸原理は、聖書に由来するとして、次にキリスト教論が大規模に展開される。神の国と現世の政治的共同体との間に横たわる忠誠をめぐる分裂。ホッブズの政治理論はどのようにして問題の解決を図ったか。神の法は自然の法であるため、われわれは信義を守り、相互協約の上に設立された政治的主権者に服従すべきである。そしてそこにこそ来世における救済はある。これがホッブズの提示した答えであった。下巻には「第三部 キリスト教徒から成る政治的共同体について」「第四部 暗黒の王国について」を収め、巻末にはホッブズ問題に触れた訳者の解説的論考と年譜、索引を付す。

目次

第三部 キリスト教徒から成る政治的共同体について/第三十二章 キリスト教政治学の諸原理について/第三十三章 聖書の諸篇の数、古さ、意図、権威および解釈者について/第三十四章 聖書の諸篇における霊、天使および霊感の意味について/第三十五章 聖書における神の王国、聖なる、神に捧げられた、および聖礼典の意味について/第三十六章 神の言葉および預言者たちについて/第三十七章 奇跡とその効用とについて/第三十八章 聖書における永遠の生命、地獄、救済、来世、および贖罪の意味について/第三十九章 聖書における教会という語の意味について/第四十章 アブラハム、モーセ、大祭司たち、ユダの王たちにおける神の王国の諸権利について/第四十一章 われわれの祝福された救世主の職務について/第四十二章 教会権力について/第四十三章 人が天の王国に受け入れられるために何が必要かについて/第四部 暗黒の王国について/第四十四章 聖書の誤った解釈に由来する霊的暗黒について/第四十五章 異邦人たちの宗教における魔物学およびその他の遺物について/第四十六章 空虚な哲学と架空の伝説とに由来する暗黒について/第四十七章 そうした暗黒に由来する利益および誰に対してそれが生じるかについて/総括および結論/「解説」にかえて──三つの「ホッブズ問題」をめぐる断想/略年譜/人名索引/事項索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Francis

13
訳者の加藤節先生は卒論にトマス・ホッブスを選んだ優れたホッブス研究者。下巻はホッブスの神学論を扱った第3・4部を収録。こちらは水田洋訳岩波文庫の3・4巻よりも論旨が明晰に訳されているように感じる。加藤先生自身解説でホッブスの神学論について述べているように先生がキリスト教論に深く通じているからであろう。解説によれば今回の訳業では水田訳を相当「活用」したとの事。水田訳も誤訳らしいものが目立つが優れたものであることが再認識出来た。「リヴァイアサン」は岩波文庫版とちくま学芸文庫版を併読しながら読むのが正解だろう。2023/03/21

またの名

10
誰もが自己保存欲動を放棄することはないとの根本原理はしかし、人類のために十字架の上で自己を放棄し犠牲にしたマゾまたは救世主と呼ばれる存在のみを唯一の例外として特権化する。社会契約論者の中でも主権者を絶対的権力にしたがるホッブズにおいて、天の国の主権者=神と、地上の国の主権者=君主はパラレルな構造を共有するため、では地上で神の代理を務める教会権力と政治的主権者が互いに対してどう序列化されるかが問題に。神に対し罪を犯して生殖という呪縛を課された生き地獄からの救済を説く聖職に、剣と兵士のリアリズムを突きつける。2023/10/17

いなお

2
非常に疲れたが読んで良かった/どうでもいいことなんだけど年譜がオックスフォード大学により本書が禁書リストに加えられたことで終わるのが痺れる2025/07/12

くま

1
難しくて何となく字面を追う感じだったが、ホッブズが王権神授説を否定しているであろう件は何となく分かった。そして宗教的権力者が必ずしも政治的主権者の権利を侵害する権利もないようなことを述べていたように思う。政教分離ということなのかな。いづれにしても本書は当時としてはセンセーショナルな内容だったであろうことは想像がついた。2024/03/26

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