内容説明
ここ30年間に不登校といじめの報告件数は、小学生で5.2倍と46倍、中学生で2.5倍と6倍に。特別支援教育対象は、15年間に小中学生ともに3倍近い。少子化にかかわらずだ。本書は深刻な混迷の中にある日本社会と教育の歴史を辿る。なぜここまで行き詰まったのか――。貧困、日教組、財界主導、校内暴力、政治介入、いじめ、学級崩壊、発達障害の激増など、各時代の問題を描きつつ、現在と未来の教育を考える手掛かりとする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
katoyann
24
戦後教育史は大きくは産業界の人材を育成するための教育行政政策であったという構図を軸として、その展開の中で生じた管理と統制の歴史を明らかにしている。全般的には教育基本法の改正に至るまで行政が教育を統制し、管理してきた結果として、教員の自由が奪われ、子どもへの過剰な管理も横行してきたという歴史を振り返っている。愛国心を唱導するのは、格差が拡大した時に貧困に喘ぐ人たちを企業社会への批判から遠ざけ、ひたすら権力に従順な大人を量産するためだったとする。新自由主義の瀰漫により排除される子どもへの配慮がある論稿だ。2023/08/30
さとうしん
14
戦後、子どもの人権を大切にするという所から出発したはずの初等・中等教育が次第に財界の意向を汲むようになっていき、更に90年代以降は国や右派勢力の意向が反映されるようになり、新自由主義の影響もあって管理教育というよりは国家による統制が進んでいくといった戦後教育の展開をまとめている。特に学校、教師が学力テストの成績を求める所から普通教育からの排除が進められていく障害児の扱いに注目している。本書の最後に取り上げられている大空小学校の運動が大阪で展開されているというのは、昨今の政治情勢を踏まえると示唆的である。2023/05/10
awe
7
教育という営みについて、これまであまりしっかり考えてこなかったのだが、本書を読み、教育は、教育という一分野にとどまらない広い射程を持つ営みであり、今後の社会の在り方を決める大きな力を孕む制度なのだということを実感した。何当たり前のことを、という感じだけれども。青木栄一『文部科学省』で詳述されているように、教育行政は、文科省を介した経産省や官邸による間接統治の対象とされている。それも先述した教育の持つ危ういまでの力あってこそだろう。教育を通じて、政治家(やその背後にいる産業界)の望む社会を形成し得るとあれば2023/11/03
chietaro
7
日本の教育は、大人の思惑中心の教育で、子どもが中心の教育になっていないと感じました。枠の中にはめられている感じがします。これまでの教育の流れを再確認できて良かったです。もっと法規的なことを勉強しなければと思いました。2023/05/07
takao
3
ふむ2024/05/15
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