内容説明
東北、北海道、沖縄、そして東京――。
半世紀にわたって日本に暮らすベルギー生まれの日本学者が、
さまざまな文化的背景を背負ったシャーマンたちを訪ね歩き、
その肉声を多数採録した貴重なドキュメント。
不可思議な世界との交流をやわらかな筆致でつづったユニークな一冊!
私は本書のサブタイトルを「もしそれが本当だったら?」にすることもできただろう。いずれにせよ、私がこの本を心から書きたいと思ったのは、なによりシャーマンがいなくなると、日本人の魂の一部も消えることになると思ったからだ。
今後しばらくは奄美大島や沖縄では生き延びるだろう、需要はいまも非常に多いからだ。しかしシャーマンは東北(青森県の八戸、恐山)でも、同じく北海道でも消滅の危機に瀕している。北海道ではレラが最後のアイヌのシャーマンで、東北でも、中村タケはこの地方で正真正銘最後のイタコと言って間違いないだろう。
なによりも私の心を打ったのは、彼女たちが…自信にあふれていたことだ。彼女たちは自分たちの使命の重要さを一瞬たりとも疑っていなかった。それは人生につきまとう苦難への答えを求めて彼女たちのところに来る人たちを助け、苦痛を和らげ、その人生に意味を与えることである。私は幸運にも素晴らしい女性たちに接することができ、そのうちの何人かとは本当の友人になった。それだけで、この仕事に費やした私の努力が報われると思っている。(本書より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Koichiro Minematsu
45
図書館本。 人の生に奇跡を起こすのが、本来のシャーマンに期待されたこと。シャーマンと言われる方は地元の吉野ヶ里遺跡がある卑弥呼伝承でしかイメージはできませんが、その人となりに触れられました。2024/10/03
MASA123
12
恐山の「イタコ」は継承者がないので消滅寸前で、沖縄や奄美諸島の「ユタ」はしばらくは生き延びるそうだ。「もどかしいほど静かなオルゴール店(瀧羽 麻子)」に登場する「島のババ様」がユタだと思われるが、小説には描かれていない 現実が本書から読み取れた。イタコもユタも、壮絶な人生なのです。 著者は日本研究の外国人女性学者ですが、冷静な視点で日本独自の世界を、精緻なスケッチ画のように記録しているのです。真摯に丁寧に日本の伝承話をまとめた小泉八雲のようだなと思いましたね。 2023/05/05
ozapin
3
ジョリヴェさんはフェミニストの研究家かと思っていたが、このシャーマンたちの取材はすごい。明治政府が魔女狩りのような呪術者追放運動をしていたことなど全く知らなかった。多神教ですべてのものを神様として崇める日本は、欧米人よりもホリスティックであったはずだが、その良さを失いつつあるようだ。この良さをうまく継承したい。2023/08/12
Hiroki Nishizumi
2
やはり沖縄、周辺の離島の記述が興味深かった。俗世間にまみれた自分は十分理解出来ないが、今後も不思議な世界として見つめていきたい。2023/11/30
あおい
2
図書館本。著者はシャーマンと一括りしているけど、イタコノロユタetc地域も北海道東北沖縄界隈、宗教と関係あったりなかったり、様々な視点でたくさんの方たちに取材されていて対象者がほぼ高齢で絶滅一途な職業?のようだ…”占い”も取材対象にはいっててTV(ブーム?)もあるから占いはまだ当分廃れないだろう、まぁそれも含め信じる信じないはあろうが、著者が日本人以外であると胡散臭さが薄れるのが実に興味深いw 参考文献も読んでみたいなぁと思うものが多々あるがはたして生きているうちに読みきれるだろうか…絶版もあるし…2023/06/12