内容説明
暴力、ネット、閉塞
阿部和重は時代を看取していた
「J文学」ブームを牽引した先進的傑作
まさに「初期」であるがゆえの
荒々しさとナイーヴさを併せ持った傑作揃い
――解説(佐々木敦)より
野間文芸新人賞受賞作、芥川賞候補作を収めた阿部和重の神髄がつまった新編!
目次
目次
トライアングルズ
無情の世界
鏖(みなごろし)
ニッポニアニッポン
解説 佐々木敦
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ソラ
8
4編収録された中編集。どの主人公も自意識過剰というか自分という存在を特別視し暴走に至ってる印象。ただ、そういう面は誰しもに内包してるところがあって、そういう自分の嫌なところを目の前に曝け出さされているみたいでいい意味で不快だった。2023/04/01
P_CAPT
3
阿部作品はホントに映画的で面白い。暴走する家庭教師の物語を、教え子が被害者宛にしたためた手紙で語る。エロスな衝動の先に遺体を発見してしまうという物語は、ネット掲示板に掲載された相談。グロテスクな暴力が繰り返されるが、これから事件が起こるという不穏なシーンまで遡り、意外な人物目線でのラストシーン。この入れ子構造の仕掛けも阿部作品の醍醐味。2023/08/23
ソラ
3
【再読】2023/07/23
otogination
0
約20年ぶりの再読。阿部和重がとりわけそうだが、純文学作家は常に新しい手法を追求するため定番をくり返すということをしない。ゆえに一人称で狂気的な人物の内的独白という形式の『アメリカの夜』や『I・P』にあるような、ある種の狭さから出て三人称のリアリズムで書こうとしたのも理解できるのだが、単に三人称だからということではなく、この主人公と語りの距離の取られ方、平板さ等やはり面白くない。2023/12/25
ぱーぷる・ばんぶー
0
「トライアングルズ」「無情の世界」「鏖」の短編3作と中編「ニッポニアニッポン」の4作。盲目的に暴走する青年たちを描いた作品群。2023/06/14