内容説明
桐野夏生が描く「バブル」
実体なき熱狂の裏側をえぐる傑作長編!
1986年春。二人の女が福岡の証券会社で出会った。一人は短大卒の小島佳那(かな)、もう一人は高卒の伊東水矢子(みやこ)。貧しい家庭に生まれ育った二人は、それぞれ2年後に東京に出ていく夢を温めていた。野心を隠さず、なりふり構わずふるまう同期、望月昭平に見込まれた佳那は、ある出来事を契機に彼と結託し、マネーゲームの渦に身を投じていく。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
485
ものすごいリーダビリティであっという間に上巻読了。面白いからスルスル読めたというのも確かにあるが、バブル期の狂騒を題材にした他作品と比較して"重さ"がないことも要因。個々のエピソードの練り込みが足りないのか、主要人物の欲への渇望みたいなものが、上滑りして軽く感じる。虚実入り交じった知謀もなく、この時代の話にしては、まだ動いている金額も小さい方。佳那も水矢子も望月も、染まりきらない中途半端さがあり、それも理由。特に佳那は、物語が進行するにつれ、どんどん魅力が薄れてくる。2023/05/09
starbro
401
桐野 夏生は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 主人公達は、私の若干上の世代なので、バブル当時を懐かしく、上巻を一気読みでした。まだタイトルの意味は解りません。 続いて下巻へ。トータルの感想は下巻読了後に。 https://mainichibooks.com/books/novel-critic/post-603.html2023/03/05
青乃108号
345
桐野夏生の本は十年以上前に何冊か読んでいるのだけど、この度久し振りに本書を読んでびっくりした。こんなに面白い作家だったかなあ。兎に角、読み手を物語に引きずり込む力が物凄く、時間を忘れて一切の雑念も持たずに読み耽ってしまう。バブル期さなかの証券会社を舞台に、同期3人の若者を取り込む狂騒の世界。これから下巻、どんな展開が繰り広げられるのか、楽しみで仕方ない。今晩も遅くまで読み耽ってしまうだろうな、明日も仕事なんだけど。2024/04/06
まちゃ
248
バブル景気が始まる1986年春に福岡の証券会社で出会った二人の女性、伊東水矢子と小島佳那。この後に二人はどんな人生を歩むのだろう。モラルなく株を売り込む証券会社と借金してまで株を購入する人々。バブルの結末が分かっていると不穏な展開しか想像できませんが下巻へ。2023/03/10
のぶ
220
まだ上巻を読む限りだが、舞台は俗に言うバブル期の証券会社で展開する。始まりは1986年春。二人の女が福岡の証券会社で出会うところから始まる。一人は短大卒の小島佳那ともう一人は高卒の伊東水矢子。二人はお金を貯めいずれは東京に出ていく計画を立てていた。そんな佳那の前に同期の望月昭平という証券マンが現れ見込まれる。現在では考えられないようなマネーゲームが展開されるが、これが当時の現実だったのだ。自分はこの時代の事を体験しているのでよく分かる。そして下巻で起こる事も想像がつく。とにかく面白い。感想は下巻で。2023/02/14