内容説明
人はなぜ要らない物でも欲しがり、なかなか満足できないのか?
「自分のものにしたい」という欲望は、人の感情や社会にどんな影響を与えてきたのか?
社会格差や不平等は、どのようにして生まれたのか?
心理学、経済行動学、社会学、生物学など様々な知見を駆使し人と社会を突き動かす「所有」の正体に迫る。
◆本書に対する推薦の言葉◆
自分の直感が果たして正しいのか、ページを繰るたびに試される。
――デイヴィッド・イーグルマン(スタンフォード大学神経科学者、『あなたの知らない脳』著者)
面白く、知的で、人生の中心となるテーマを論じている。
――ポール・ブルーム(イェール大学心理学教授、『反共感論』著者)
流麗な文体、見事な論理。ぜひとも所有すべき一冊。
――ダニエル・ギルバート(ハーバード大学心理学教授、『明日の幸せを科学する』著者)
目次
はじめに
第1章 本当に所有していますか
第2章 動物は占有するが、所有するのは人間だけ
第3章 所有の起源
第4章 それが公平というものだ
第5章 所有と富と幸福
第6章 私のものとは私である
第7章 手放すということ
おわりに
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
香菜子(かなこ・Kanako)
17
人はなぜ物を欲しがるのか:私たちを支配する「所有」という概念。ブルース・フッド先生の著書。所有欲や支配欲から解放されれば人生をきっと楽になる。多くの人が所有欲や支配欲から解放されれば社会はずっとよくなる。人間同士のいざこややいがみ合いも人間関係トラブルも所有欲や支配欲からくるものが多い。国同士のいざこややいがみ合いもトラブルも所有欲や支配欲からくるものが多い。所有欲や支配欲をなくすための薬や脳外科手術が完成すれば多くの人が幸せになれるのかもと妄想してしまう。 2023/08/18
くらすけ
15
過度な物質主義に警鐘を鳴らしてるという点では『荘子』と共通点があるなぁと思いながら読みました。異なるのは心理学の実験やバンクシーの絵の所有権を巡る争いなどのエピソードや論拠が生き生きしていること。そして、過度な所有欲は環境問題や格差などの大きな問題につながると指摘してるところです。 節約が上手くなるアドバイスなどの特効薬が乗ってる本ではありませんが、現代社会の消費主義に疑問を感じ、深く洞察したい人にはお勧めしたいです。2023/04/26
山のトンネル
11
『ステータス・ゲームの心理学』と関連するテーマ。2024/02/05
ossan12345
9
潤沢なモノに囲まれて暮らす我々が憑りつかれている「所有」という概念を分析する教養溢れる一冊。ユーモアを交えて、という書きぶりなのだろうが、博学な著者の、様々な分野に飛躍しながら進められる論に着いていくのが必死でした。生きるために必要なものは身の回りに溢れているし、他人と競争する必要も最早なくなった現代において、やはり所有を求め、所有による自己顕示欲・承認欲求を満足させんとする我々の本能は、そう簡単に変わるものではないですね。幸せでなくちゃダメなのか?は考えどころだけど、やっぱり幸せになりたいでしょう笑2023/05/23
いえ
8
正直自分に物欲がないのでお給料日の度に何を買おうか悩む人の思考が気になり読んだ。歴史学・社会心理学・発達心理学等あらゆる学問の研究結果を用いて「所有」の概念を論じてくれる。ヒトは所有により進化し、所有物で自分がどんな人間であるかを他者に知らせる生き物らしい。空き巣に遭った人間が悲嘆に暮れるように、私は自己観をかなり大切に築き上げているのだと気づく。挫折や感動といった経験を自分の財産であると信じ、その為の消費は厭わない。そこに他者の意が介入することは、家に火をつけられるのと等しい。見事な本だった2023/08/08