内容説明
私たち人類は「理性」をフル活用して、「国家」を作り出し、そして宇宙と生命の神秘を解き明かそうとしています。
その一方で、いくら超越的な存在になったとしても、生物としての基本的な行動パターンは変わっていません。
そのため、地球に誕生してから今日まで、細菌やウイルスが引き起こす感染症にたびたび冒されてきたのです。
古代・アテネの疫病に始まり、東ローマ帝国を襲った「ユスティニアヌスの疫病」、同時期に中国で起こった「晋の疫病」、奈良・平安期の日本で広まった疫病。
そして、ハンセン病、黒死病(ペスト)、天然痘、結核、コレラ、インフルエンザ――。
こうした感染症のパンデミックに対して、人類はいつも理性を持って戦い、封じ込めようとしながらも挫折を繰り返し、そして共生・共存してきました。
新型コロナウイルスが流行しはじめてから3年、私たちはようやく日常の生活を取り戻しています。
そんないまだからこそ、過去の人類の歴史を振り返ってみることが私たちには必要です。
さまざまな振興のウイルスに冒される21世紀は「感染症の時代」と言われています。
本書で得た学びは、次なるウイルスの脅威が世界を襲ったとき、必ず我々日本人の指針になるはずです。
古今東西の世界史と日本史を知り尽くした著者だから描けた、誰も読んだことのないまったく新しい「感染症の文明史」。
渾身の大作が満を持して登場!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ta_chanko
19
グローバル化によって人やモノの移動が活発化すれば、それに付随して感染症も世界各地に広がり、パンデミックを引き起こす。これは古代から現代に至るまで避けられない、時代を超えた人類の課題。天然痘・ペスト・コレラ・結核・スペイン風邪・新型コロナ…。本書では、アントニヌスの疫病と黄巾の乱、ミラノ勅令と五胡十六国時代、ユスティニアヌスのペストと敏達朝の疫病など、ユーラシアの東西でほぼ同時におこった危機が、同一の感染症による影響である可能性についても述べられている。2023/04/03
usurakage
7
細菌・ウィルス・ワクチンの基本について、歴史をもとに分かりやすく解説しています。読み物としても秀逸。2023/03/27
イフル
6
COVIT19収束が見えて人流が活発化、巷には外国人が溢れかえるようになってきた。今こそこの人類史に刻む3年の出来事が何だったのか検証すべき時が来たと思う。人類は数多くの病原菌パンデミック禍に遭遇、それを乗り越えて来た歴史を知った。都市封鎖など想像すらできなかったことが現実化した。その原因は自然発生などでなく明らかに中共による人災であった。また陰謀論とも言われているdrファウチの機能獲得実験についても、今後の歴史的検証が待たれるところである。2023/04/02
ケンサン
4
「人類とは、なんと不思議な存在なのでしょう」。人類は宇宙船、化学兵器、遺伝子操作、AI等自らを含む生命体をコントロール化に置こうとする。一方、どれだけ大脳皮質が発達して他の生物から超越的な存在になっても、呼吸、食事、排泄、繁殖行為等、生物の基本的な行動パターンを繰り返す。が、細菌やウイルスが引き起こす感染症にいかに無力か?アテネの疫病、ローマ帝国を震撼させたパンデミック、疫病と飢饉が漢王朝を崩壊、天平エピデミック、ペスト、天然痘、結核、コレラ、スペイン風邪・・コロナウイルスの教訓は語り継がなければ・・2023/06/01
in medio tutissimus ibis.
3
2023年初版の癖してイベルメクチンとかまだ言ってんのか。しかもワクチンの投入の拙速さを非難したその舌の根も乾かぬ内に? ちゃんと感染症と文明の関係について知りたい向きは、ネタ元のW.H.マクニール『疫病と世界史』を直に読もう。その方が滅茶苦茶面白い(ダイレクトマーケティング)。2023/11/26