内容説明
こんなことに付き合ってあげられるのは、自分だけだと思っていた。
夫婦ごっこ、恋人ごっこ、友達ごっこ……。曖昧な関係に振り回される女たちの、不器用すぎる恋。
野間文芸新人賞候補作『春、死なん』につづき、注目作家が「ままならない恋愛」を描く最新小説集。
・「ごっこ」
六つ年下の恋人の浮世離れした逃避行に付き合って、あてのないドライブを続けるわたし。そろそろ逃亡資金が底をついてきた。
・「見知らぬ人」
友人の結婚式に集う客たちの中に、夫の不倫相手が混じっているのではないか。あの女を探す那月が出会ったのは――。
・「はこのなか」
田舎町の中学で出会った奔放な女友達タクボに思いを寄せる戸川。今の願いは、結婚したタクボの隣室に住むこと。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
150
紗倉まなさん初読み。〈ままならない恋愛〉3話。1話目はタイトル作『ごっこ』こんな恋人たち(恋人でよいのか?)嫌だな。冒頭からついていかれない。2話目は『見知らぬ人』夫婦が共に不倫・・妻と相手女性との会話に素が見えて気持ち悪いのに、脳内で勝手に映像化していた次第(笑)で、忽然と消えた夫は何処へ?ラストは『はこのなか』女友達への想いは1番しっくり来た。ただ、3話とも読み辛かったのは何故だろう。2024/03/06
美紀ちゃん
72
推しが、前に「紗倉まなが…」と言っていたので、 覚えていて 本を出していることを知ったので、試しに読んでみた。 最後まで読んだが、 正直、読みにくくあまり印象に残らなかった。 ごめんなさい。2024/03/02
konoha
64
面白かった。現代の愛の形を書いた3編。表現が上手く、パワーがある。表題作は歳下の彼氏との奇妙なドライブ。冒頭の場面からインパクトがすごい。「見知らぬ人」の那月は夫の不倫相手に出会い、一緒に失踪した夫を探す。神保町のドラッグストアで2人が逆ギレしながら商品を選ぶ様は圧巻。東京の夜のやるせなさを思い出す。「はこのなか」は同性のタクボに恋する戸川が切ない。共通するのは、人を愛することのわけのわからなさ。でも、妙に冷静に生活のことを考えていたりもする。励まされたわけじゃないのに、少し勇気がもらえる。2023/10/13
ちょこよこ
25
ほとんど読んでる紗倉まなさん。とても頭が良いのだろう。以前よりも文章や言い回しが難解で凝りすぎていて、すんなり頭に入らない部分もあったが、それが今っぽい雰囲気もあり、不安定で目が離せないような女性達の魅力にもなっていそう。2023/10/08
羊山羊
19
凄く濃ゆくて歪な愛を描く3編。表題作が本当に好き。クズな男と彼女の織り成す退廃的に過ぎる逃避行がテーマ。著者の筆致と題材がマッチしていて、男女間の愛憎がドロッドロに描かれていて凄まじい。2023/02/27