内容説明
小学校2年生の時に別れたきりの父が亡くなった。報せを受けた長谷川洋一郎は、48年間の空白を胸に、父の人生に向き合おうとする。父は、死の直前に「自分史」を書こうと思い立っていたらしい。なぜ? そして、誰に読ませたかったのか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
tamami
53
店頭で小説本の冒頭を何冊か試し読みして、印象に残った一冊。久しぶりの重松作品。やはり掴みはうまいと思う。ことに主人公の年齢が近い分、知らず知らずに共感してしまう。登場人物の造形、伏線の張り方、手練れた文章表現等々に、これは小説世界のお話と納得しつつもつい夢中になって、気がつくと上巻の最終頁ということに。人は自分の人生を辿るのは一回だけではあるが、小説作品の中に、あるいはあり得たかも知れない全く別の人生を味わうことができる。今更の書生談義ではあるが、小説の面白さを堪能することも悪くないなと思い始めたこの頃。2023/04/09
しげ
51
「暑い」夏に負けない様に「厚い」上下巻をコツコツと読みました。人の事は言えないと感じるところはありますが身内、親類、友人知人の中にも困った人(問題児)は居るもので「悪い思い出ばかりでは無いんよ」と別れた夫を子供達に語った母の言葉は、年月と言う人生フィルターを経た想いとも感じます。身近で主人公と似た境遇の方を何人か知りますが「それでも親は親」と言うには程遠く親子関係の現実は厳しと感じます。2025/09/14
ピース
30
洋一郎が子供の時に離婚してその後全く会っていない父親が亡くなったとの連絡が入る。しかし父親には何の感情もないどころか良い印象はない。だから遺骨やら後処理をどうすれば良いのか悩んでしまう。更には勤務先である老人ホームに厄介な入居者がやってくる。この2つの難問にどう対応し解決するのか。下巻へGO。2023/04/23
jima
14
2018年から19年に朝日新聞で連載。小学校2年で別れた父親が48年後に亡くなった知らせをうける。2024/03/10
わらわら
13
3年前図書館で借りて一度読んでいるのだが…本屋で文庫本が出ていて初めて読むと思い購入する。ブロローグからいくともう少し重たい本かと思ったがユーモアのある展開に。主人公の息子は私より若い、亡くなった父親は少し年上である。私の父は3歳の時に亡くなっている一斉記憶はないが、本のような状態になったら「どうする?」と考える。身近な人間が亡くなる時この人の人生はどないだったのだろう?とも考える。最近、子にも頼らないとも考える。後半を読んでまたじっくり考えてみよう。二回目なのだがほとんど覚えていない。2023/10/13