内容説明
5年前の惨事──播磨崎中学校銃乱射事件。
奇跡の英雄・永島丈は、いまや国会議員として権力を手中にしていた。
もうひとつの検索ワードを追う渡辺拓海は安藤潤也にたどり着くが、
事件との繋がりを見出せないまま、追い詰められていく。
大きなシステムに覆われた社会で渡辺は自身の生き方を選び取れるのか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
MINA
12
『魔王』から時間を置かず読めて良かった~!新装版の表紙好きだわ。安藤兄のあの能力が報われたようにも思えて少しじんわりきた。解説で単行本との違い知れて得した気分。「勇気はあるか?」とつい自分自身にも問いたくなる。2023/02/25
慎次
6
大きなシステム、国家などの大きな組織がある以上は、存在するもの。見えないものだけに、怖い部分もあるでしょうね。 奥さんの存在、キャラ好きだなぁ。強いっ!2024/03/15
lanikai
6
途中、魔王を挟んで下巻読了。安藤商会の実像が意外でほっこり。大きすぎる存在=国家の捉え方や、わかりやすい悪者はいなくて、ただそういうシステムになっている、という社会システムの表現は自分にとって新しい考え方で、納得する部分もあり、やはり大きすぎて関わる人数が多すぎてよくわからない、という部分もある。だからこそ、最後に目の前の小さなことにこだわって戦うというのはすごくわかりやすくて良かった。結局妻の正体って?とか謎は残りますが、最後に魔王の安藤兄弟と繋がって、一つの大長編になります。読み応えありました!2024/02/06
文庫本依存Hiro
6
『モダンタイムス/伊坂幸太郎』下巻も文庫新装版で再読完了。 うわー、上巻で投げまくった伏線の回収の見事さはミステリとして極上で、それ以上に、社会というシステムの中で、社会に不満を持ちながら安寧を求め阿るバランスの描き方が絶妙。 そういえばこの作品、魔王の続編にもなっていたのかと思い出し、思わず魔王も読み直したくなりました。2023/06/04
ほんどてん
6
本書のかなり早いところで、もうクライマックスからラストに向かっているの?!と思うくらい勢いがあって、気付けば読みながら夢中で力が入っていました。個人的に気になっていた主人公渡辺拓海の謎の妻も健在で、友人であり作家であり女好きでもある「井坂好太郎」は下巻でも最高の存在でした。検索とかシステムの怖さを感じつつ、ユーモアによって一人一人の個性に魅かれてしまったり、名言も名シーンも目が離せなくなる世界でした。2023/02/24