内容説明
初めて惚れた女は、初めて治せなかった患者だった―
無常を感じ、医術を捨てたはずが、落ちぶれた今では、表沙汰にできぬ傷病を金次第で治しては口を糊している沢木浩太郎。
快復の望みない者を永眠らせる仕事を始めた小間物屋のお遼。堅気となった経緯を、かたくなに口を閉ざして話さない元伝説の盗賊木鼠の佐七。それぞれ事情ありの三人がこの世にはびこる悪人どもを一刀両断する。
書下し武侠小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はつばあば
49
主人公の名前はかの有名な作家さんにあやかってか「沢木浩太郎」。京都で医学の勉強をしたけれど、好きになった女性の労咳が治せず・・医師の看板を下ろし江戸へ。そこで知り合った元盗賊の佐七、殺し屋のお遼・・・いつの間にか仲良くなって様々な事件に関わる。短編ですしややこしい事件もない。ただ小石川療養所で出会った同心雨宮雪之介とこれからどんな関わりを持っていくのか興味がある。シリーズ3巻まで、しかも読み人少なし(#^.^#)2023/11/07
ほりん
28
感想・レビューがないことにびっくり。そんなにマイナーな作品だったのか。主人公浩太郎は,腕の確かな医者だったが惚れた女を病から救うことができず,傷心を抱えまま,頼まれれば出向くという「かげろう」のような医者稼業を続けている。棒手裏剣を使う殺し屋のお遼,元盗賊でおでん屋の佐七の3人が,貧しく弱い人たちのために,悪人を懲らしめる物語。3人とも「わけあり」なので,公に届けたりすることなく,悪のもとを懲らしめたあとは,手をひく。この辺の塩梅が好きだったので,シリーズのこの先も,おいおい,読んでいきたい。2015/06/16