内容説明
人々の生活とともにあって、豊かに息づいていた、超自然的な生きものたち――
フェアリー、エルフ、ゴブリン、ドワーフらのイメージは、どう形成され、愛されてきたか。
イギリスが育んできた、妖精信仰と文学的空想を解き明かす。
妖精文化を深く知るための基本書!
翻訳は、英文学者・比較文学者で、妖精学の第一人者、井村君江です。
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妖精を無視して、果たしてシェイクスピアが正しく理解できるだろうか、
チョーサーの『カンタベリー物語』は十分に語れまいし、
マーローやミドルトン、ベン・ジョンソンらの理解も半端になろう。
本書は、イギリスに古代から存在したと想像されていた
さまざまな種類の妖精を、その発生から17世紀まで、
主として「チュートン神話のエルフ」「ケルト伝説のフェアリー」
「アーサー王伝説のフェ」の三点に集約しつつ、
その変遷を辿ったものだ。
イギリス人の心の奥底の根深いところに、
妖精たちはさまざまな姿をとって連綿として生きているのである。
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井村君江の評論「英国妖精流離譚」も収録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆうやけPC
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けっこう難しい内容の本だった。基礎知識がないので理解はしきれなかった2023/05/26
火曜日
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『妖精の世界』(1977)改版、仏日の研究者がチュートン・ケルト・アーサー王から発し英文学に根付いた妖精の扱われ方を追う。人外との交流を描く英児童文学の特徴の一つは何らかの「いずれ別れる」を組み込んでいることではと思うが、その発想元はしばしば人が「行ったきり帰らない」とされる妖精伝説にあるのだろうか。妖精文学の17世紀での衰退過程には「いずれ別れる」のモチーフが繰り返されている。ところで人外への想像力は巨大なものにも向かうが妖精は概して小さい。見えないのは「小さいから」でもあるようで、合理的で興味深い。2022/07/27