内容説明
インターネットが8割を超えて普及する時代を迎え,世論の分断や党派対立はますます激しくなったかのように見える。しかし,そこで生じている「分断」とは,いったいどのようなものなのか。社会学・社会心理学におけるネット研究の碩学たちが分析するネット社会と民主主義のゆくえやいかに…?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
那由田 忠
22
意識調査を最新の統計技術を駆使して分析し、米国で言われるようなネット(SNS)によって、人々の価値観が全体として大きく対立するように分かれるかを検討する。論文によって結果が微妙に異なっているが、日本では米国ほど一方の意見のみを読むという結果は出てこないようだ。新聞の立場は違うけれどもそれなりの信頼感が残っていて、異なる意見を聞く機会の多いことが理由のようだ。問題は、改憲をテーマにするものの、何の改憲かが不明なときと9条の時で意見が変わる特殊性があるのに、それを軽視してデータ分析に終始することだろう。2022/02/18
小鳥遊 和
8
社会学・心理学者が「選択的接触」他を論じる。『ネットは社会を分断しない』を「ネット利用の分極化効果を調査データで検証した唯一の先行研究」と位置づけその結論に疑問を呈示。6章で浅野は「中高年に比べ若年層がネットメディア利用が多いのに(ので)中庸化している」のは若年層が政治関心が低いためかも、また同書の「分極化指数」操作が学問的に問題ありとする。9章と終章で辻は米国の実証研究も中庸化を示したが女性・若年層・低学歴層など社会的弱者は政治的影響力が少ないため政治関心が低いとし、強い声と弱い声のデジタル格差を指摘。2025/03/29
のるくん
7
『ネットは社会の分断を招くのか』メディアが大衆のTV・新聞から個人のインターネット・SNSに拡がり、デジタル格差の問題も。ネットがそれほどまでに影響力をもったのか。どの国のどの為政者も、多かれ少なかれ、真実もフェイクも織り交ぜて、人心を掴もうと力を注ぐ。まるで魚(民)を囲い込む投網か定置網か。そして、ネットはこれでもかとレコメンドしてくる。そんな誘惑に身を任せるのはラクでもワクワク感がない。本屋も図書館もいつもと違う書架を探検し、本を手に取り、新しい知的発見をしよう。真実かフェイクか見抜く力をつけよう。 2022/05/03
takao
3
ふむ2023/01/13
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