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内容説明
国を挙げて教育政策に力を注ぎ、教育移住の多い国としても知られるシンガポール。外国人のメイドを雇う家も多く共働きしやすい国というイメージもある。今や日本が見習う国のように見えるが、全てがうまくいっているのか。現地で5年間暮らした教育社会学研究者・ジャーナリストが、インタビュー調査などを通じてシンガポールの教育システムの実態を報告。激しい教育競争、習い事競争、教育熱と、母親たちの葛藤・試行錯誤を追う。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
kan
29
シンガポールの教育事情は噂には聞いていたが、これほどとは思っておらず衝撃を受けた。ハイパーメリトクラシー、過酷な習い事、家庭教師やメイド事情と費用、高学歴女性の疲弊など、教育熱のもたらす犠牲は大きく、競争からは降りられない構造だ。教育環境のために引っ越し、点数化され有利とされる習い事や体験を買う等、文化資本をお金で獲得するためにエージェントが入るのは各国で定着し、日本にも似た流れがある。階層の再生産と格差の拡大のお手本だ。春に生徒を連れていくローカルインター校が本書に載っていたが、準備と覚悟が必要そうだ。2025/01/05
リットン
11
隣の芝は青いというか、日本と似たような問題はあるし、そんなに大差なさそうな気がしたなぁ。自分はこんな試験勉強まみれの教育が重要だとは思わないけど、みんなやってるから、、みたいな本書でのインタビューであった言葉は印象的だった。結局、誰も受験戦争を良いものとは思わないけど、あとで損をしないためにみんながやってるからやる状態は奇妙だけど、自分がその立場になったら、、と思うと難しいだろうなぁ。この本の内容も自分に子供がいたりすると感じ方は変わったりするだろうなぁ。2023/02/19
coldsurgeon
9
シンガポールという国が持っているイメージは、表面的には本書の通りだと納得しながら、教育面での実情をすると、少子感対策を進める日本の近未来の一選択肢を観ることになるかもしれない。親たちがハードモードの共働きであると、反動として子供は専業主婦志向になる可能性にあるという。母となり、自らの仕事を続けようとすれば、子供の成功と母親の成功を等しく叶えるためには、子供は一人が望ましいことが、現実的な正解となる。女性の社会での働き方改革と少子化の改善を目指すのであれば、社会システムの大きな見直しと、親たちの意識改革か。2023/02/14
Ayakankoku
8
インタビューやアンケートが多めでアカデミックさはあまりないなと感じた。時折出てきた韓国の話もステレオタイプなものが多いなという印象。もう少しシンガポールの教育について学べると思っていたので少々残念。2025/02/01
はぎはぎ
7
シンガポールで滞在していた経験を持つ著者が、その時に多数の人にインタビューやアンケートを行って得た情報をもとに書かれた本。シンガポールの教育制度についての言及もあるものの、主眼はシンガポールの親や子どもがどのような意識をもち、どこに問題を感じているかというところ。タイトルにもあるが、これを日本の教育のあり方と比較して、日本の問題点をあぶりだそうとする。新書ということもあってか、アカデミックな厳密さはあまりないが、生で取ってきた情報に触れられるのが最も興味深いところだろう。2023/08/31
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