ちくま新書<br> 消費社会を問いなおす

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ちくま新書
消費社会を問いなおす

  • 著者名:貞包英之【著者】
  • 価格 ¥880(本体¥800)
  • 筑摩書房(2023/01発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480075338

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内容説明

平成のデフレ不況を乗り越えてもなお、消費社会は私たちの生活全体を覆い尽くしている。消費社会がもたらしたのは「豊かさ」ばかりでなく、深刻な格差や環境問題でもあった。一方で、消費社会はその根本において個人の自由かつ多様な生き方を実現し、今も多くの人々を魅了してやまない。大量消費の限界に向き合いつつ、消費社会が私たちにもたらした「自由」の意味をあらためて問いなおし、その可能性について、ベーシックインカムをはじめとする政策提言も視野に検討する。

目次

はじめに/第一章 消費社会はいかにして生まれたのか?/1 消費社会という「理想」/平等という理想/自由という理想/私と多様性という理想/消費とは何か?/2 二〇世紀の消費社会論/歴史としての消費社会/資本主義の延命/消費者の主体化/3 消費の歴史社会学的探求/資本主義の外部/歴史としての消費社会/消費社会の「起源」/遊廓の消費/植物世界の誘惑/消費は誘惑する/第二章 消費社会のしなやかさ、コミュニケーションとしての消費/1 「賢い」消費/デフレの到来/デフレのゲーム/一〇〇円ショップの楽しみ/ブランドものを買う/2 情報の海/情報化社会における消費/過激化、極端化、封鎖/選択を選択する/サブスクリプションの出現/3 廃棄の技術/「片づけの魔法」と分身としてのモノ/モノに対する執着/ミニマリスト的ライフスタイルとの類似点/消費社会の延命/第三章 私的消費の展開──私が棲まう場所/身体という幻影/1 ゲームの規則/他者に対するゲーム/誠実なゲーム/私的消費/「盛り」のゲーム/余白を消費する/オタクたちの文化/消費社会を補完する/2 住居──ニュートラルな居場所/消費のゲームの対象=「身体」/超高層マンションでの生活/プライベートな空間/快適性の誘惑/3 私を超える誘惑──スポーツ、ドラッグ/スポーツという衝動/アスリートはなぜ消費されているのか?/私を変える物質/ドラッグストアの興隆/かくも単純な快楽?/第四章 さまざまな限界/1 経済という限界/不公平な配分/国家による是正/「脱商品化」という戦略/直接給付という恣意/「不公平」の拡大/2 環境という限界/環境破壊は何をもたらすか?/あらたな技術の困難/「規制」というやり方/ソフトな誘導/炭素税の問題/二つの限界/第五章 消費社会(へ)の権利/1 消費社会の限界/不公平という問題/国家という難問/2 ベーシックインカムという「理想」/ベーシックインカムのさまざまなかたち/さまざまな主張/消費社会を補う/消費の「不公平」を解決できるか/環境保護への期待/3 ベーシックインカムがもたらす可能性/普遍的な保障がなぜ期待されるのか/ベーシックインカムの経済的可能性/文化をつくりだす/地方のあらたな文化/国家の制限/購買力と選択権を取り戻す/民主主義をアップデートする/ベーシックインカムを支えるもの/消費社会(へ)の権利/注/あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

リットン

9
消費という行為は、自身の表現であり、現代において人権にすら近く、人と不可分である一方で、環境問題や格差など、限界も見えている中で筆者はベーシックインカムを解決策として提起している。なるほど、と思う部分もあれど、ベーシックインカムでほんとに解決するのか、、?と思う部分もあった。国が機械的にお金を渡す機構となれば、不公平や癒着や腐敗もないというのは、ほんまかいなと思った。最低限の額すぎて働く人は減らないというが、なら働けない人の保障は必要だしその線引きを誰かがするなら大なり小なり今と同じ構造なんじゃないのかな2023/01/31

Mealla0v0

6
本書は消費社会を単に資本主義の爛熟した段階というよりは、それ自体固有の歴史的な領野として位置づける。それは自由と多様性を保証するシステムであり、愚行権の保障まで含めた望ましい社会だとされる。貨幣は様々なモノを買えるという点で具体的なモノに束縛されない可能性そのものだが、消費はその可能性を断念する行為である。消費はコミュニケーションの一種でもあるが、私的消費はそれからも逃れた行為である。他者に評価されずとも自分にとって価値のあるものの追求という側面が消費にはある。ここにおいて消費社会を擁護する価値がある。2023/07/07

JUN

5
自分には少し難しかった。議論もまだまだ必要ではあるが、ベーシックインカムは1つの選択肢なのだろうと感じた。2025/01/23

rune

5
現代において消費社会は、格差の拡大と環境破壊の元凶とみなされ、脱却が模索されている。それに対し著者は、消費社会を、自由と多様性を保障するものとして擁護する。本書が消費社会の歴史社会学的探求によって明らかにするのは、人々はいつの時代にあっても、消費活動を通じて、自らの選択可能性を拡げ、私的自由を行使してきた、ということである。こうした消費社会の魅力と価値は、たやすく捨て去れるものではないし、捨て去るべきでもない。格差の拡大と環境破壊という限界に向き合いつつ、消費社会の可能性を考える。これが本書の課題である。2023/01/14

乱読家 護る会支持!

4
貧富の差を拡大し地球環境に多大なダメージを与えている消費社会。 「コミュニズム」「コト消費」「エシカルな消費」「福祉社会化」など、消費社会の問題点を乗り越えるさまざまな考えが提唱されている。 しかし、人々は日々消費社会を選択し、受け入れ続けている。消費社会は、「自由」と「多様性」を生み出すものだからだ。 人間にはさまざまな欲求があるが、ほとんどの欲求が消費に繋がっている。 ゆえに消費社会を否定することは難しい。 本書は格差の解決として、全国民に最低限の報酬をもたらすベーシックインカムに期待を寄せる。2023/07/10

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