内容説明
人生の最後に、向き合いたい思い出は何ですか。
自分に、本当に必要なものを探し出す「片付け」小説。
亜紗は、隣の部屋に住む老婆・八重を助けたことがきっかけで、彼女の部屋の片づけを手伝うことになる。片づけるうちに明らかになる八重の過去。そして阿紗も、幼少期の記憶が蘇ってくる。
自分に必要なもの、いらないもの、欲しかったもの、嫌だったもの。
思い出や物と向き合う中で、二人が選んだ道とは。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆきち
70
本書のイメージ通りの栞とともに著者さんよりサイン本を頂きました。いろんな言葉を心に染み込ませながら大切に読みました。阿紗はとんでもない環境で育ったために片付けることを知らないまま大人に…職場の先輩に片付けることの楽しさを教えてもらい生活を整えることができたが、心の穴はいつも塞がらないままアラフォーに。ある日、ひょんなことから隣に住む高齢の女性八重の汚ったない部屋の片付けを手伝うことに。片付けるうちに八重という人を知り、部屋も阿紗も八重も整っていく感じがタイトルにぴったりの一冊で良かったです。面白かったな。2024/01/06
エドワード
50
亡き母が残したマンションの賃料で暮らす阿紗は、隣の部屋に住む高齢の女性、八重と出会い、彼女のゴミ部屋をみかねて掃除を始める。家族と無縁の二人の交流。八重は絵がうまく、絵本の朗読で子供たちを沸かせる。阿紗のクリーニングと収納力もただものではない。八重は言う、「残りの人生は、誰にも邪魔されず、自由に生きようと思った。」巻頭のトルストイの言葉「自由に生きたければ、なくてもいいものを手放しなさい。」が効いてくる。本作は高齢化社会、独身社会へ向かう今の日本の縮図だ。女性たちは、素直につながれる。問題は男性だね。2023/11/28
ベローチェのひととき
41
妻から廻ってきた本。主人公はもうすぐ40歳になる阿紗。マンションの隣りに住む高齢の女性、八重を助けたことから、八重の終活を手伝うことになった。八重は口が悪くいけすかない婆さんであったが、部屋の片付けを通して段々と阿紗と心を通わせていく。八重と関わるようになって、阿紗も気持ちの上で過去からの色々な事に片をつけていく。自分の人生、自分のものだよ。2025/05/09
penguin-blue
41
お隣と運命の出逢い、というのは見飽きた連ドラ王道パターン。そんな都合よく運命の人が隣に住んでるかいな、と毎回思うけどこの物語がひと味違うのは隣人が汚部屋に住む老女だということ。心ならず掃除=終活の手伝いをする羽目になる主人公、阿紗は40歳。社会と縁薄く生きてきた二人が、少しずつ心を通わせ、互いになくてはならない存在に…魔法のような奇跡が起こる訳でなく、相手を思いやることで少しずつ同じ世界が違って見えてくる。終わり方はややあっけないけれど、そこがまたいいのかも。そして掃除パートは参考にも、プレッシャーにも。2023/05/29
みつにゃん
37
断捨離で部屋も心もスッキリ!読んでいても心が軽くなってくるのがわかる。ひょんなことから交流をするようになった2人。世代は違えど気持ちが通じ合う人と過ごす時間は貴重だな。…とりあえず私も断捨離頑張ろう。引っ越してまだ8ヶ月くらいだけど、服はまた増えている。先ずはクローゼットの余白を作って快適にしよう。2024/02/03