内容説明
武士とは、何だったのか?
千年に亘る戦いの系譜を一冊に刻みつけた、驚愕の傑作歴史小説。
〈螺旋プロジェクト〉中世・近世篇。
負け戦の果てに山中の洞窟にたどり着いた一人の武士。死を目前にした男の耳に不思議な声が響く。「そなたの『役割』はじきに終わる」。そして声は語り始める。かつてこの国を支配した誇り高きもののふたちの真実を。源平、南北朝、戦国、幕末。すべての戦は、起こるべくして起こったものだった――。〈巻末付録〉特別書き下ろし短篇
【電子版巻末に特典QRコード付き。〈螺旋プロジェクト〉全8作品の試し読みができます】
※〈螺旋プロジェクト〉とは――
「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画
〈螺旋〉作品一覧
朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』(本作)
天野純希『もののふの国』
伊坂幸太郎『シーソーモンスター』
乾ルカ『コイコワレ』
大森兄弟『ウナノハテノガタ』
澤田瞳子『月人壮士』
薬丸岳『蒼色の大地』
吉田篤弘『天使も怪物も眠る夜』
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まあか
48
源平から、幕末まで、もののふ(武士)たちの戦いを一気に駆け抜ける。死に際に聞こえてくる声。螺旋プロジェクトのテーマ、海と山がはっきりと分かれて描かれている。NHKの大河を観ていたので、頼朝・北条氏あたりは理解しやすかったが、他はあまり詳しくないため、もっと掘り下げた話も読みたかった。苦手な歴史ではあるが、もっと色んな本に挑戦していきたい!2023/02/07
みこ
45
螺旋プロジェクト武士編。武士の歴史は戦いの歴史でもあるが、それを本プロジェクトの海族山族そして傍観者と貝のお守りというアイテムにそれぞれ綺麗に落とし込んでいる。強引さがないとまでは言わないが、海族を平氏、山族を源氏とすることで源平交代思想に絡めたのは上手かった。明治編の舞台と登場人物が出てくるので、こっちを先に読んだ方が良かったかも。ただ、龍馬は日本史の中でも「ザ海族オブ海族」だと思うのだが。西郷と土方の最後を見届けた人物なら斎藤一や黒田清隆あたりが傍観者有力候補だった気もする。2023/01/19
piro
44
平将門から西郷隆盛まで、「もののふ」達の争いを、海族vs山族の対立になぞらえて描いた連作短編的な作品。源平、南北朝、戦国、幕末維新と武士が主役だった時代・日本の中世から近代にかけてのオールスターキャストが揃った感。彼らが襷を繋ぐように争い続けて来た歴史の流れを感じさせる興味深い物語でした。それと共に、人は争いをやめる事ができない存在だという事実を突き付けられた様で、複雑な思いも残ります。未だに世界から争いが消えない現実を暗示するかのような印象も受けました。2023/12/09
さち@毎日に感謝♪
32
「螺旋プロジェクト」の中世・近世編。初読み作家さんです。フィクションなのに、ノンフィクションのような展開でした。時代物は難しいイメージがあったのですが、この作品は海族と山族に分かれている事もあり、読みやすかったです。2023/02/04
タルシル📖ヨムノスキー
24
2022年最後は螺旋プロジェクト中世・近世編。乾ルカさんの〝コイコワレ〟が半年ちょっとの物語だったのに対して、これはなんと900年以上。それもそのはず、源平合戦から幕末までの話を400ページちょっとで描いているので、とにかく駆け足です。史実に基づいた物語だけにその結果はもう周知の通り。なので一番の読みどころは誰が海族で、誰が山族がというあたり。それと文庫書き下ろしの短編がなかなか読み応えがあったというか、あの戦いの歴史的な意味みたいなのがわかったというか。うーんなるほど。ネタバレなしで書くのは大変。2022/12/31