内容説明
この世には善とも悪とも呼べない、理解不能な神がいる。
毎年身体の一部が村に降ってくる神、不老不死の夢を見せる神、あらゆる事象の辻褄合わせをさせる神、一切の記録がなくただ信仰だけが残る神――。
理解もできず根本的な対処もできない、だが確かに日本各地で起こり、人々の平穏を脅かす現象は「領怪神犯」と呼ばれている。
公的機関として密かに存在する「領怪神犯特別調査課」に所属する片岸は、部下である女性調査員の宮木と、各地から報告される「領怪神犯」の調査と対処に当たっている。
奇怪で危険な様々な神による超常現象、時にはそれらの神を崇める危険な人間たちとも対峙しながら、片岸は調査を進めていく中で失踪した妻の痕跡を見つけ出そうとする。
だがそれは、「領怪神犯」のある恐ろしい真実に触れることにもつながっていき――?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
120
つまり…え?の一冊。いざ、噂のシリーズへ。神=良では決してない。むしろ危険で不気味ないわゆる「領怪神犯」と呼ばれるそれらに、役所の公務員バディ、片岸と宮木が調査に出向くストーリー。巨大な身体の一部が降ってくるなどのさまざまな奇怪現象。しかもそれらを自然に受けとめている人々という異常な世界観に戸惑いながらも、次第にハマっていった。というのもどれもどこかヴェールがかかったような余韻が残されるからかな。次第にそれが強く濃く感じられ、いきなりの爆弾ワードにえ?今まで見ていたものは、つまり…え?これは続編必読案件。2024/06/09
えにくす
112
謎の公的機関・領怪神犯特別調査課の活躍を描く、怪異物語短編集。日本全国に有る、非常に不可解な現象。それはその土地の妖怪というか、神と言われる物たちの仕業だ。その現象が起きている村を、片岸と部下の宮木が調査して、謎の神の正体に迫る物語。凄く怖いという印象は無いけど、読んでいるうちに背中がゾッとするような感じだ。人間による解明には限度があり、結局は調査を妥協するのがリアリティがある。そしてラストの会話にビックリ!なぜ携帯が無いのか不思議だったけど、そういう事か!このシリーズにハマりそうだ。★42024/05/06
yukaring
93
これは予想を越えた面白さにすっかりハマってしまった1冊。理解不能な神々が引き起こす超常現象「領怪神犯」役所に密かに存在する特別調査課の調査員達が日本各地で怪異の現実を調べる。‘’巨大な身体の一部を降らせる神‘や‘つじつま合わせの神’’など神を崇拝する危険な人間とも対峙しながら現象の対処に当たる。そこまでならよくあるバディものの怪異譚なのだが実はここから先に見え隠れしている驚愕の真相が凄い。奇怪で不可侵な「領怪神犯」を研究する秘密の動きや「日本国を守るため」という謎の一文。これは読きが気になって仕方がない。2024/04/28
キナコ
92
無料マンガで読み、気になり原作を購入。全8話の短編構成。日本にすむ様々な神々が関わってくる領怪神犯。解決するのではなく、ほぼ隠蔽であるが別次元の住人の感性が人間と違いすぎることにゾッとする。一つ一つの事象がすっきりと終わるわけではないが、神様ってそういうことよなって自分なりに納得した作品。シリーズモノだし、読み進めていきたい。2024/07/03
のりすけ
90
霊でも妖怪でもなく「神」。善でも悪でもなく「神」。いきなり空から体の一部が降ってくるとか、なんなんこの展開!ってなっちゃったけど、すごく面白い。「水底の匣の中の神」の奇怪な腫瘍が非常におぞましくて良かった!ラストにかけて大きな仕掛けが伺える展開も良い。2024/08/31